「当面は菅首相でいくしかないが、早く辞めてほしい」
そんな声が聞こえてくる世論調査
4月1日から3日にかけて実施された読売新聞の世論調査は、菅直人政権の大震災対応について予想通りの数字を示している。
①菅内閣の支持率は31%で、震災前の前月調査の24%から増加。不支持率は56%(前回67%)と低下。しかし、全体の低落傾向の基調が変わったとは言えない。
②菅首相の退陣については、半数が今年夏までの退陣を望んでいる。
③大震災への挙国的対応のために、自民、民主の「大連立」を望む人が64%に達している。
④地震や原発事故への対応では、首相が指導力を発揮していると思わない人がほぼ7割(69%)。被災地救援についての政府の対応では、評価する人が43%、評価しない人は44%と拮抗。ある程度の評価はされている。
しかし、原発については、61%の人が政府の対応を評価していない。ただ、この調査では岩手、宮城、福島の3県が除かれているので、被災地域の評価は読み取ることができない。
調査結果の全体からは、「当面は菅首相でいくしかないが、ひと区切りがついたら早く辞めてほしい。それまではしっかりしろ」という世論だと言ってよいだろう。当面の退陣を諦めた人たちが、内閣支持率の上昇に寄与しているに過ぎない。
菅首相は自分の今の立場に
酔いしれているのではないか
どうやら首相は、「歴史的国家危機に決死の覚悟で臨む最高指導者」という立場に酔っているのではないかと心配になる。4月1日の“復興構想会議”を提唱した記者会見では、特にそんな印象を受けた。反面、政府内にも与党内にも全力で菅首相を支えようという熱気は感じられず、ますます孤立しつつあるように見える。
そんな首相の孤立感が、多くの組織をつくったり、役職を増やしたりすることに一層拍車をかけているのではないか。自分の指導力が及ばないから、新しい組織や役職をつくって張り合う。それでは大震災への対応体制がますます混乱して弱体化することが避けられない。