天下りの「OB口利き」は文部省だけで起きているとは思えない。そろそろ根絶のための本質論を考えよう

 文科省の天下り問題については、皆さんよくご存じのことと思います。まだ調査の途中段階とはいえ、論外と言えるほどにひどい内容です。ただ、この件に関するメディアの報道は、新たに判明した天下り先など事象の部分に終始しています。

 それも大事ですが、そろそろ本質的に重要な2つの論点についても考えるべきではないでしょうか。

文科省だけではない?
不十分だった天下り規制

 それを説明する前に、天下りに関するこれまでの政府の対応をラフに振り返っておきましょう。国家公務員の天下りに対する規制は、第一次安倍政権の下で成立した国家公務員法の改正法案に基づき、2008年から施行されました。

 主な内容は以下のようになっています。

・各府省による再就職の斡旋は全面的に禁止
・現職の職員の利害関係企業に対する求職活動も禁止
・再就職の斡旋は官民人材交流センターに一元化
・再就職等監視委員会が違反行為の調査などを行う

 ここで重要なのは、この改正法には、国家公務員OBによる再就職の斡旋(=口利き)についての規定がなかったということです。規定がない以上は、暗黙の了解としてOBの口利きはOKということになります。

 その後、天下り規制を強化しようと何度かさらなる法改正案が国会に提出されましたが、いずれも廃案となりました。そうこうするうちに、2009年9月に民主党政権が誕生しますが、鳩山内閣は同年10月に日本郵政の社長に元大蔵事務次官を据えるときに、大臣と国家公務員OBによる再就職の斡旋を明示的に容認してしまいました。

 すなわち、自民党政権では暗黙のうちに容認していたに過ぎない国家公務員OBの口利きは、民主党政権で明示的に認められることになったのです。

 ちなみに、2012年に第二次安倍内閣が誕生しますが、それ以降は今に至るまで、天下り規制はおろか、行政改革全般でほとんど何も動きはありません。

 こうした経緯を踏まえると、文科省の天下りスキームは、ある意味で政治の側の動きを受けて構築されたことがわかります。天下りを斡旋していた嶋貫氏が文科省を退官したのは2009年7月です。その時点ですでにOBによる口利きは天下りの抜け道として大丈夫と考えられていたのが、3ヵ月後には官邸が明示的にOKとしたのですから、天下りという仕組みを維持したい霞ヶ関の全府省がそれを使わないわけがありません。