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職あれば食あり

日本人は「あたって砕けろ」の美意識に
捉われていないか
桜の下で外国人に教わった「コスモポリタン」の精神

まがぬまみえ
【第8回】 2011年4月14日
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 4月上旬のある週末のこと。今年の桜を目に焼き付けておきたいと上野公園を散歩していると、スケッチブックを抱えた1人の青年に呼び止められた。

 「ミヤギの子どもたちのために、絵を描いてもらえませんか?」

 年はおそらく20代。顔は日本人に見えるが、言葉は東南アジア訛りの英語である。

 「こんな時にこんなところで、外国人が何をしているのだろう?」

 そんな好奇心から、取材は始まった。

上野で被災地の子どもたちのために絵を集める
シンガポール人アーティストとの出会い

花見客で賑わう上野公園。桜は7分咲きの頃。公園内で営業する飲食店のスタッフによると「人出は例年と比較にならないくらい減った」という。

 「僕はシンガポールのアーティストです。現地の新聞で日本の地震を知り、子どもたちのためにできることはないかと思って来日しました」と語る青年。

 どこか懐かしささえ感じさせる丸顔。どう見ても悪人顔には見えないが、こちらは根っからシャイな日本人である。「募金してくれ」ではなく、「絵を描いてくれ」と言われると、なぜか考え込んでしまう。

 しかたなく、時間稼ぎにカタコトの英語で会話を始める。

 「えーと、どうしてあなたがミヤギの子どもたちを支援するの?」

 「ミヤギの子どもたちだけじゃないんです。僕はもともと絵を描くことを通じて、世界中の子どもたちをハッピーにする活動をしています。子どもたちと一緒に絵を描いたり、子どもたちのために学校を作ったり。インドネシアでは、ホームレスの子どもたちのために家を作る活動もしました」

 本格的な慈善活動のようだ。

 よく見ると、彼の周りには日本人の学生もいる。話していると、たまたま近くで花見をしていただけの台湾人の女性も駆け寄ってきて、興奮気味にこう話す。

 「ワタシもじつはついさっき、そこの桜の下で彼と出会って意気投合したばかりなんです」

 彼女は日本語が話せる。といっても、日本に住んでいる訳ではなく、地震・原発のニュースを知った後で友だちに会うために日本にやってきたという。年はあくまで想像だが、彼より10歳以上は年上だろう。

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