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日本を元気にする新・経営学教室

終身雇用の下で創造性をはぐくむ「討議力」を
組織に取り込むにはどうしたらよいか 
慶應義塾大学ビジネススクール教授 高木晴夫

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第11回】 2011年4月18日
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日本企業は
会議の「知的生産性」が低い

 今回は終身雇用制度と組織の創造性について考えてみよう。終身雇用制度を採用していると、その良し悪しは別として、人々は「金太郎アメ」になりやすい。それでは、金太郎アメだとまずい場面とはどのような場面だろうか。

 ビジネスにおいては一人の人間が頭の中で、つらつら考えてアイデアをひねり出しても、その幅や深さには限界がある。だから、社内にいる人同士、業務上関わりを持つ人同士が、情報と知恵を出し合って、ものを言い合いながら、業務上必要な新しい何かをつくっていくことが、組織活動として絶対に必要である。

 ただし、日本企業の中では、こうした組織活動について、積極的に市民権を得た用語がない。かなり以前のホンダには「わいがや」、つまり、わいわいがやがやと日常的に組織内で議論するという意味での活動があり、それなりにビジネス用語として使われたが、今はこの言葉を聞かない。

 ビジネススクールという種類の学校では、そうした活動にはディスカッションという名前がついている。企業活動においては会議、会合、ミーティングあるいはブレスト(ブレーンストーミング)などと呼ばれている活動があるが、日本の企業では上に述べたような積極的な意味での議論がなされることは少なく、あまり得意でない。

 そのことがひと目見てわかるのが、日本企業の会議であり、会議のディスカッションリーダー、または議長のさい配のふるい方である。そのさい配がとても稚拙で、自分ばかりしゃべって、会議が終わってしまう。時には同意を求めて、「そうだよな」と出席者に話しかけるが、「うん」と同意されると、先に進んでしまう。

 このように日本企業の多くは、会議の知的生産性が低い。だから、会議が伝達、指示、了承という機能を果たしても、洞察、刺激、創造というジャンプの求められる課題を追求できない。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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