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香山リカの「こころの復興」で大切なこと
【第3回】 2011年4月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

大きな出来事があったからといって
人は急に変わらない

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復興ナショナリズムの危険性

 東日本大震災を経験した日本に、いま「復興ナショナリズム」とでも言うべき風潮が蔓延しています。

 言うまでもなく、被災地の復興が急がれることは誰の目にも明らかです。しかし、被災地で苦しんでいる方たちは、日本を復興させようと思っているわけではない。日本経済が復活するチャンスだと考えているわけでもありません。

 被災された方にとっての復興は、元の生活を取り戻すことです。そうした切実な思いが、復興ナショナリズムによって忘れ去られてしまわないかという危惧を抱いています。

 そして私が疑問を感じているもう一点は、「われわれは日本人なんだから一緒に頑張ろうぜ」という雰囲気が強まり過ぎていることです。

 もちろん、緊急時にはバラバラでいいと言うわけにはいきません。短くてインパクトのある「一緒になって」「一丸となって」という言葉を使うしかないという事情はある。でも、21世紀に生きる私たちは、どこか相対化しておかないと間違った方向に進んでしまう恐れがあります。「みんなが一つになろう」という場合も、例えばその後に「(なんちゃって)」「(笑)」「いまはこう言うしかないよね、ポリポリ」というような、気持ちだけは残しておきたいものです。

 全員が一斉に一つの方向に進んでいると、思わぬ方向に向かわないとも限りません。原発の問題がこじれて、仮に国際社会から総スカンを食った場合に、意地になって「日本だけでやっていく」「誰にもわかってもらわなくていい、日本は強い国だから」という考えに陥って暴走しかねません。

葬式躁病に陥るニッポン

 前回は「共感疲労」についてお話ししましたが、現在の状況は、日本に住む人にとって不安なことばかりです。しかし人間は、究極の不安が襲ってきたとき、むしろ高揚状態になることがある。

 たとえば癌を宣告された患者の場合です。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「こころの復興」で大切なこと

震災によって多くの人が衝撃的な体験をし、その傷はいまだ癒されていない。いまなお不安感に苛まれている人。余震や原発事故処理の経過などに神経を尖らせている人。無気力感が続いている人。また、普段以上に張り切っている人。その反応はまちまちだが、現実をはるかに超えた経験をしたことで、多く人が異常事態への反応を示しているのではないだろうか。この連載では、精神科医の香山リカさんが、「こころの異変」にどのように対応し「こころの復興」の上で大切なことは何かについて語る。

「香山リカの「こころの復興」で大切なこと」

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