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国税局直轄 トクチョウ(特別調査部門)の事件簿
【再公開1】 2017年3月1日
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上田二郎 [元国税調査官]

「正直者がバカを見る」脱税を見抜く
特別調査部門の目

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トクチョウ(特別調査部門)とは、別名ピンク担当と呼ばれる国税局直轄の調査チームのこと。風俗店や飲食店の他、弁護士、司法書士、医師など、大口の申告漏れが見つかりそうな案件を対象に調査を行っている。調査のはじまりは、普通は見逃してしまうような小さな違和感。長年の経験と勘を頼りに、張り込みや潜入調査によって脱税者を追い詰めていく。17年間にわたりマルサで活躍した元国税調査官だからこそ明かせる、トクチョウの実力とは? TVドラマ化(「トクチョウの女」)される『国税局直轄 トクチョウの事件簿』から、脱税調査の生々しい内幕を公開。

調査官の武器は知識と紙と鉛筆だけ

 税務調査は難しい仕事だ。若い調査官は自分の父親や、祖父のような年齢の人のところに調査に行かなければならない。相手は年上で、しかも、会社などの組織に属さず、自分の力で生活している実力者だ。そして、多くの場合には税金の専門家の税理士が関与している。

 税理士が国税OBだったりすると、かつての上司の場合も少なくない。調査は納税者側の土俵で行われるため、納税者が行っている事業の商慣習や業界用語、そして、業界で統一的に使用している帳簿類を知らなければ、相手に質問をすることもできない。こんな状況の中で調査官はパズルを紐解いていかなければならない。調査官の武器は知識と紙と鉛筆だけだ。

 統括官(管理職)から事案を交付された調査官は「調査の手引」を見て、調査先の業種・業態を勉強してから調査に臨む。「調査の手引」にはすべての業種が網羅されており、たとえば、建築業ならその商慣習、記録帳簿、調査の展開方法、過去の不正事例などが詳細に掲載されている。

 業界のルールを知って経理処理を知っているからこそ、帳簿を見ていると不審な取引や不審な経理処理が浮かび上がってくる。

 個人課税部門の「調査の手引」は群青色で加除式になっている。加除式のため、新たな調査技法が見つかると、改定して最新の調査技法を加えることができる。「調査の手引」は先達からの贈り物だ。

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上田二郎(うえだ・じろう) [元国税調査官]

1964年生まれ。東京都出身。
83年、東京国税局採用。千葉県内及び東京都内の税務署勤務を経て、88年に東京国税局査察部に配属。その後、2年間の税務署勤務があるものの、2007年に千葉県内の税務署の統括国税調査官として配属されるまでの合計17年間を、マルサの内偵調査部門で勤務した。09年、妻の実家を継承するために東京国税局を退職したが、縁あって再び税理士として税務の世界につながっている。


国税局直轄 トクチョウ(特別調査部門)の事件簿

トクチョウ(特別調査部門)とは、別名ピンク担当と呼ばれる特定繁華街の掌握を任務とする、国税局直轄の調査チームのこと。風俗店や飲食店の他、弁護士、司法書士、医師など、大口の申告漏れが見つかりそうな案件を対象に調査を行っている。
普通は見逃してしまうような、小さな違和感から調査の端緒をつかみ、張り込みや潜入調査によって脱税者を追いつめていく。17年間に渡り、マルサで活躍した元国税調査官が明かす特別調査部門の実力とは?

「国税局直轄 トクチョウ(特別調査部門)の事件簿」

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