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税金亡命
【第5回】 2016年7月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
佐藤弘幸

税関が見ている「お金の流れ」
あなたは大丈夫?

・パナマ文書、タックスヘイブンとは何か?
・富裕層はどんな税金対策をしているか?
・世界ではどのような脱税行為が行われているか?

国税最強部門、「資料調査課」(税務署では調査できない困難案件、例えば大口、悪質、海外、宗教事案などを扱う部署)出身であり、タックスヘイブンの実情を描いた最新刊、『税金亡命』の著者でもある佐藤氏が、本連載で実情を語る。

税関が目を光らせる
「キャピタル・フライト」とは?

 キャピタル・フライトとは、国内から国外へマネーが一斉に逃げ出すことをいう。マネーが逃げ出すのは、いくつかの理由がある。自国の通貨価値に不安がある場合、税金が高すぎる場合、脱税資金が発覚しないよう逃がしたい場合、国内政情が不安定な場合、といったように、国の事情から個人的事情にまで多岐にわたる。

 ただし、キャピタル・フライトと言っても、事情によっては銀行間送金ができない場合がある。中国のように自国からの「送金制限」がある場合や、日本のように銀行送金した場合に「調書」の提出が税務署にされると「困る」場合がある。銀行送金できない場合には「他の手」を使ってフライトさせることになる。

銀行送金はどうなる?

 銀行送金の場合、窓口に出向いて、送金依頼書(アプリケーション)を作成する。送金相当額を準備のうえ手続する。マネーロンダリング防止のため、銀行によっては送金目的次第で送金を拒否される場合がある。特に最近は、「投資目的」などのケースで送金できないトラブルを見聞きするようになった。

 送金手数料が高い、手続きに時間がかかるなどのデメリットがある。後述するが、送金(受金)事実が税務当局に筒抜けになる。

取引代金の水増しは?

 事業用の話にはなるが、取引代金の水増しをすることをオーバーバリューという。例えば、輸入取引のケースでは、インボイス価額を水増しすることにより、利益を圧縮できる。水増しして送金した額は送金先国でプールして、現地での受注工作資金や渡航した際の遊興費、個人的蓄財に充てられるなどされる。税務的には、当然「ブラック」である。

税務当局の監視ツールとは?

 国外送受金は国税当局に監視されている。国外送金等調書提出法、が根拠法である。海外資金の情報収集を図るために、「金融機関に調書の提出を義務」付けている。

 調書の提出基準は、100万円相当額を超す国外送受金が対象になる。平成21年3月31日までは200万円基準だったが、190万円などギリギリにして送受金する輩が出てきたので、基準を下げた経緯がある。

 では、1000万円送金したいけど91万円×11なら、調書が出ないことになり税務署には分からいのでは?などと勘繰らないほうがいい。送金した店舗には、アプリケーションの現物があるし、送金データは各銀行のデータセンターの普通預金コムフィッシュなどで確認できる。

 平成24事務年度に提出された調書は約564万枚。前年に比べ47万枚増加、平成15事務年度の2倍となっている。

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佐藤弘幸(サトウヒロユキ)

1967年生まれ。東京国税局課税第一部課税総括課、 電子商取引専門調査チーム(現在の統括国税実査官)、統括国税実査官(情報担当)、 課税第二部資料調査第二課、同部第三課に勤務。 主として大口、悪質、困難、海外、宗教、電子商取引事案の税務調査を担当。 退官までの4年間は、大型不正事案の企画・立案に従事した。 2011年、東京国税局主査で退官。現在、税理士。


税金亡命

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