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ワークス研究所の労働市場最前線

「ケア」は充実したが「フェア」は徹底せず
なぜ企業における「女活」は中途半端に終わるのか

石原直子 [リクルートワークス研究所主任研究員]
【第8回】 2011年4月21日
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 2006年から2007年にかけて、日本企業のあいだでは「女活」がブームだった。女活とはすなわち「女性活用の略」と考えた方は、残念ながら惜しくも間違っている。

 「活用する」という言葉が使用主(つまり企業)の視点であり、ありていにいえば「上から目線」である、主役である女性の意思がないがしろにされている、ということで、「女性活用」という言葉は忌避された。

 その代わりに登場したのが「女性活躍推進」という言葉だ。「女活」は女性活用ではなく、女性活躍推進の略なのである。女性が「自ら」活躍するのを、事業主や上司が推奨しサポートする、という理想を盛り込んだ言葉である。

 しかし、この言葉の用法には、実は悪い影響をもたらした側面もあったのではないか。それは「活用」という言葉が外れたことにより、数々の制度の整備を得て結婚し、子を産んでも働き続けるようになった女性に、「どうやって、企業に貢献してもらうのか」という視座で、ものを語りづらくなったことにある。

 そこで本稿では、06年の「女活」ブームが、約5年を経た11年の現在、どのように実を結んでいるのか、あるいは、実を結んでいないのかを考えていきたい。

「ダイバーシティ」と
「ワークライフバランス」

 ところで、06年の女活ブームの時、ほぼ同義的に使われてメジャーになった言葉に「ダイバーシティ」と「ワークライフバランス」がある。

 企業の中には「女性活躍推進室」というような部署を設けるところもあったが、1部企業では「ダイバーシティ推進室」という名前が採用された。ダイバーシティとは「多様性」のことであり、本来的には別に「女性」だけを取り上げる用語ではないのだが、ダイバーシティの初めの1歩として「女性」にフォーカスします、という意味合いで使われていた。

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石原直子 [リクルートワークス研究所主任研究員]

(いしはらなおこ)慶應義塾大学法学部を卒業後、都市銀行、コンサルティング会社を経て、2001年7月にリクルートに入社し、ワークス研究所勤務となる。2003年から2007年までリクルート人事部を兼任し、関連企業の人事企画やダイバーシティ推進など、理論と実践の融合に取り組んだ経験も持つ。


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超就職氷河期、非正規社員の比率の高まり、社内教育制度の限界など日本の労働市場は、大きな転換期にある。労働市場の研究所として名高いリクルート社のワークス研究所の研究員が、就職、転職、キャリアパス、制度問題など、労働市場を360度の視点から縦横に分析する。

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