「関東の加盟店でも収入が減ったところがあるだろう」(新浪剛史・ローソン社長)

 ローソンとファミリーマートの3月の既存店売上高は、震災後の買いだめ需要等で前年同月比それぞれ7.2%増、5.2%増と好調だった。しかし新浪社長の発言は、その裏で思わぬ事態が発生していたことを示している。

 2社は震災後、商品によっては関東の店舗にも一時“送り込み”、すなわち加盟店の発注によらない本部主導の定量納品を行っていた。東北へ供給する商品の確保や、関東の商品製造工場の被災などで供給力が細っていたからだ。

 これらにより関東でも、高収益店などでは平時の需要から見ても入荷数が少なく、前年比で売り上げが減ってしまったところがあるようだ。2社とも、販促費増などでそのぶんの補填を考える必要が生じている。

 また、会計処理での混乱もあった。供給不足で納品数が発注数に至らなければ、仕入れの訂正を行わなければならない。3月はこの処理が膨大にあったのだ。放置しておくと、加盟店は余計なコスト負担をすることになってしまう。

 この混乱に対しファミマは、関東の加盟店への支援を検討する。「今回は(訂正)件数が膨大だったうえ、買いだめ需要で顧客対応に追われたり、計画停電があったりして処理し切れない部分があった」(上田準二・ファミマ社長)からだ。

 東北だけでなく関東まで支援を広げることで、震災関連の特別損失は最大70億円と他社より多くなる見込みだ。しかし、店舗比率の高い関東の加盟店とのあいだに火種を残すわけにはいかない。

 一方、ローソンは本部側で納品の照合を行ったため、それほどの混乱はなかった模様。ただし、1日7万件処理できるよう、体制強化などの対応に追われた。

 今、本部は加盟店バックアップ策を本格的に講じる段階にある。本部・加盟店の成長のためには、各社の状況に応じた適切な策が求められる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

週刊ダイヤモンド