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王道経営
【第5回】 2017年3月17日
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新 将命

本業をおろそかにした社会貢献は本末転倒
企業のステークホルダーに対する責任を果たすには?

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勝ち残る企業を創る鍵、「黄金のループ」の4番目のステップ「顧客・社会満足品質」について論じる。会社の永続的繁栄のためには、顧客満足、それを超えた顧客感動こそが絶対に欠かすことのできない条件である。さらに社会を満足させる、つまり企業の社会的責任について、見落とされがちな本業との関係において述べる。

企業は社会の幸福に貢献しなければ、生きている資格がない

 いかなる企業であっても、社会から必要とされることで、はじめて企業として成り立つ。企業は社会の発展に寄与することにより、はじめて存在意義(レーゾン・デートル)を獲得する。たとえば、医薬品業界の技術革新が、人類の健康、長寿に貢献していることは周知の事実である。また、車、鉄道、航空機などの移動手段の発達は、他の産業の発展に貢献し、社会全体を豊かにした。情報通信機器の発達も社会に多大な貢献をしている。

 正しい産業や、その構成要件としての企業は、その存在を社会から求められ、認められているのだ。

 したがって、正しい産業に属している企業は、高品質の商品・サービスを安定的に供給し、雇用を創造することで、社会貢献をしているともいえる。

 CSRとは、企業のステークホルダーに対する責任を果たすことでもある。ステークホルダーには社会も含まれる。社会に求められる商品・サービスを供給し、顧客感動を実現して、その結果としてもたらされる利益から適正な税金を納めることも、企業にとって最も基本的で、最も重要な社会貢献である。

 レイモンド・チャンドラーの『プレイバック』という作品中に「男は強くなければ生きていけない。やさしくなければ生きている資格がない」という名セリフがある。

 私流にもじっていえば「会社は儲からなければ生きて行けない。社会に貢献しなければ生きている資格がない」となる。日本には、ビタ一文税金を納めていない会社がおよそ70%あるという。こういう会社は国に対する義務や責任を果たしていない。

 社会貢献は本業を通じて行う、これが企業の社会貢献の基本である。寄付や慈善事業、ボランティア活動など本業以外の手段で社会に貢献することも、それはそれで立派な社会貢献である。しかし、本業をおろそかにして会社を危うい状況に追い込むことは、本末転倒であり、しょせん長続きできないことを経営者は銘記しておくべきである。ロータリークラブや青年会議所の活動に没頭した挙句、会社を倒産させてしまう経営者もいるのだ。

 本業による顧客満足の追求は、社会貢献に通じる本筋である。

 社会が期待し、満足する商品・サービス品質を創造することで、会社は社会に貢献することができる。社会に貢献する会社は、社会から評価され、感謝され、社会から積極的にその存在を求められる。すなわち長寿企業の道を歩むことになるのである。

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新 将命

株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。1936年生まれ。早稲田大学卒業後、シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で40年にわたり社長職を3社副社長職を1社経験。株式会社ティーガイア、ライザップグループ株式会社を含む数社の社外取締役を務める。長年の経験と実績をベースに、国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。

自身のビジネス人生で得た実質的に役立つ独自の経営論・リーダーシップ論は経営者や次世代リーダーの心を鼓舞させ、講演会には常に多くの聴講者が詰め掛けている。著書に『経営の教科書』(ダイヤモンド社)『伝説の外資トップが説く リーダーの教科書』(ダイヤモンド社)、『伝説の外資トップが説く 働き方の教科書』(ダイヤモンド社)、『伝説の外資トップが説く 仕事と人生で成功するために本当に必要なこと』(ダイヤモンド社) など。またオリジナル教材『新将命の経営・リーダーシップ実学』やCD教材等も。

新将命 公式サイト

 


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あまりにも頻発する企業の不祥事に危機感を覚えた“伝説の外資トップ”が、「日本の経営者は、いまこそ王道に立ち返れ」と、40年をかけて体得し実践してきた王道経営の真髄を魂を込めて伝える。

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