ヤマト現場からの悲鳴「いつからアマゾンの下請けになったのか」
宅配便最大手、ヤマト運輸の総量抑制を巡る動きが各メディアで連日報道されている。
物流専門紙を発行する筆者としては、テレビを含めた一般メディアの過熱ぶりにいささか驚くと同時に、これが物流現場が抱える厳しい現状への理解が深まる契機になると思っている。
今回の動きをひとことで要約すれば、ネット通販の急増によって配送現場の疲弊が臨界点に達したということだ。
数年前からその兆候は見え始めていたが、昨年12月の年末繁忙期に至ってついに限界レベルを超えて“決壊”した。2月上旬に開かれたヤマト運輸労働組合の集会では、組合員から「我々はいつからアマゾンの下請けになったのか」と怒声に近い声も飛び交ったという。
窮状を訴える現場に対し、長尾裕社長は2月21日付で社員に向けて発信したメッセージで、(1)ヤマト運輸にとって最大の資本である「人」を守るため、取扱数量の適正化を図る、(2)労働時間管理については、カウントを入退館管理に一本化し、シンプルに始業・終業を確認できる仕組みを早急に構築する、(3)多くの社員からの指摘を踏まえ、時間帯区分および再配達受付時間の見直しを行う――という3つの方向性を示した。
おそらく、ヤマトはこの方針に基づいた具体的な施策を早ければ4月中にも示すことになるだろう。同時に「働き方改革」の原資ともなる宅急便の運賃を値上げする方針を打ち出すはずだ。
今回の運賃値上げが一部報道にもあるように、個人利用者を対象にした基本運賃の改定にまで踏み込んだものになれば、1990年以来、27年振りのこととなる(消費税アップ時の値上げは除く)。このことが持つ意味は大きい。何故ならば、ヤマトにとって、個人向け運賃の値上げはタブーにも等しい行為だからだ。