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エコカー大戦争!

震災で減速する日本、官民一体で急加速する台湾
電気自動車覇権戦争の厳しすぎる現実

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第78回】 2011年5月2日
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 大震災後の復興に追われる日本の自動車業界。次世代車の販売や開発は足踏み状態にある。こうしたなか、世界の電気自動車ビジネスのダークホースが快走を始めた。台湾である。

 2011年4月15日。台湾の台北市、ワールドトレードセンター南港館、「台北國際車用電子展」の4階フロアのブース番号L0112。展示主の企業名は、富田電機(Fukuta)。ブース内にはIM(誘導電動モーター)が並ぶ。

米CBCの地方局で放送された、テスラ関連のニュース画像の一部。テスラ「ロードスター」の主力電気部品はほぼ100%台湾製であることが分かる。

 同社関係者は「テスラ用は特注品なので、今回展示していない」という。ブース前のディスプレイには、米CBSチャンネル58のニュースに中国語字幕をつけて流していた。そのタイトルは「世界最速電動車TESLA」。

 アメリカの電気自動車ベンチャー、テスラ社のCEO、イーロン・マスク氏のインタビューの後に、富田電機(台湾・台中市)本社工場取材が紹介される。富田電機はテスラ「ロードスター」に電動モーターを一括生産している。

  モーターのコイル銅線の巻きつけは機械で行うが、電子部品の組み付けなどは手作業。総経理の張金鋒氏が電気自動車事業の将来構想を笑顔で語る。

台湾の富田電機(FUKUTA)は電動モーター(誘導型)の製造メーカー。米テスラに特注品を納入。

 この展示会と同時期、台北市街中心部のワールドトレードセンターでは「台湾国際電動車両展(EV台湾)」が開催されていた。その一角に、致茂電子(ブランド名:Chroma)という出展社の名前。同社は電子機器のテスト装置メーカーで、1999年にEV(電気自動車)向けコンポーネンツの製造販売子会社、EVT社を設立した。

 EVTの主力製品は以下の4種類だ。

① PEU(パワー・エレクトリック・ユニット)/外部電源からの交流から直流への転換と電動モータを制御する装置
② オンボードチャージャー/外部の交流電源からの対応機器
③ BMS(バッテリー・マネージメント・システム)/バッテリーの温度管理などの制御
④ DC・DCコンバーター/電動モータ駆動用の高い直流電圧を下げ、車載の機器に対応

 EVT社の社長室長、William Chang氏は「テスラには当社のPEUとオンボードチャージャーを一体化した製品を納入している。彼らはこれを、PEM(パワー・エレクトリック・モジュール)と呼んでいる」と説明した。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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