分割化は、JRグループにおける全体最適と部分最適のバランスを崩した。そして、民営化は、「ユニバーサルサービス(全国で公平かつ安定的に実施されるサービス)の提供」と「企業の利益追求」をどう折り合わせるかのバランスを崩した。

 現在、分割民営化の最大のひずみといえるのは、経営難と社会的な信用失墜にあえぐJR北海道だろう。昨年11月に半分の路線の単独維持が難しいと公表した。トラブル続きのJR北海道の経営は褒められたものではないが、路線の存廃問題はJRグループ全社に通じる課題だ。

 同じ運輸業界では、人手不足に苦しむヤマト運輸が、収益性が乏しい過疎地域も含めて全国へ宅配便を届けようともがいている。何とかユニバーサルサービスを維持しようとしているのだ。

 にもかかわらず、JRグループはどうか。ジリ貧のJR北海道が次々と路線の廃止・縮小を検討している一方で、より高収益のJR東海は、東京-大阪間を東海道新幹線とリニア中央新幹線の「二重系化」しようとしている。まるでJR北海道の問題は人ごとだ。

 JRグループは、日本の交通網を支える社会インフラ企業である。その事業の特性上、いつの時代も公益性を持ち続けなければならないはずだ。日本で少子高齢化が加速し、地方の過疎が深刻になる中、JRグループに、公益性維持という重い課題が突き付けられている。

 JR発足から30年。その間に、経済環境、社会環境は激変した。30年前に設計された「JRグループモデル」も制度疲労を起こし、老朽化してきている。今こそ、JRモデルの再構築が必要な時に差し掛かっている。