3月に起きた東日本大震災の影響で、福島にある原子力発電所が被害を受け、関東地方は電力不足に悩まされている。そしてこれにより、各家庭や企業が「節電」に取り組み始めている。
夏場の節電を見据え、家電売場では扇風機がかなり売れている模様。消費電力の高いエアコンを使わず、扇風機で夏の暑さを乗り越えようというわけだ。
また、家電メーカーも電力消費を抑えた家電製品を発表。その中でもとりわけ注目されているのが、「バッテリー内蔵液晶テレビ」だ。
シャープから発売されるのが「フリースタイルAQUOS」。サイズは20V型で、チューナー部とバッテリー内蔵ディスプレイ部が分離。ワイヤレスで接続されるため、ディスプレイ部だけを持ち運んで使用することができる。内蔵バッテリーはフル充電で約2時間テレビが視聴できる。
ディスプレイ部にバッテリーを内蔵することで、自由に家の中で持ち運べるというだけでなく、いざというときには電源なしでもテレビ視聴ができるというメリットがある。
また、内蔵バッテリーを積極的に使うようにすれば、通常のテレビよりも消費電力は少なくなり、節電効果もある。
東芝からは、さらに節電を意識したバッテリー内蔵液晶テレビ「REGZA」の新製品を7月に発売すると発表があった。こちらは、内蔵バッテリーに夜間に充電する「ピークシフト機能」を搭載していることが最大の特長。
これは、電力供給が不安定な新興国向けに販売されている「POWER TV」シリーズの技術を応用。電力供給に余裕のある深夜などに充電しておけば、リモコンにある「ピークシフト」ボタンを押すとAC電源から内蔵バッテリーへ切り替わる。充電はオフピークに行ない、消費電力のピーク時は内蔵バッテリーを使うことで、節電になるというわけだ。ちなみに、内蔵バッテリーのテレビ視聴時間は最大3時間となっている。
このように、これからは内蔵バッテリーを搭載した家電製品が増える可能性が高い。冷蔵庫などは通常24時間通電させておく必要があるが、内蔵バッテリーを搭載することで1日数時間は通電しなくてもいいようにできるのではないだろうか。たった数時間でも、電気を使用しなければ、十分な節電になるだろう。
今や電気はなくてはならないエネルギー源だが、今回の震災により、電気は無尽蔵に使えるものではないとわかった。電気に変わる主要エネルギーがまだ実現化されていない現在、節電が最も効果的だ。
電気を使う我々が節電に務めるのはもちろんのこと、電化製品メーカーも節電意識が高まっていると言える。今年の夏は、例年よりも電気のありがたみが身に染みてわかるのではないだろうか。
(三浦一紀)