今年1月、大手コンビニエンスストアの「ローソン」は、群馬・栃木など北関東を中心に展開する中堅コンビニエンスストア「セーブオン」との経営統合を発表した。2018年中に、セーブオン全店舗はローソンの看板に掛け替えられる予定だ。セーブオンは“消滅”の時を静かに待つことになる。再編の進むコンビニ業界の現状について、コンビニ評論家の田矢信二氏に聞いた。(取材・文/清談社)

街中から続々と消えていく
地元民に愛された“中堅コンビニ”

 中堅コンビニが続々と“消滅”している。今回ローソンとの経営統合が発表されたセーブオンは、群馬県前橋市に本社を置き、北関東を中心に約500店舗を展開してきた“中堅”コンビニ。ローカルコンビニとして愛されていたセーブオンの“消滅”に、ネット上では嘆きの声が相次いだ。

「中堅コンビニ」が消えてゆく、大手3社シェア争奪戦の陰でセーブオンのみならず、am/pmやスリーエフやポプラなど、地域に愛された中堅コンビニが過去数年で次々に大手と経営統合し、店舗が消滅している。規模が小さいと生き残っていけない時代なのだ。さらに大手同士はPB開発合戦に余念がない(写真はイメージです)

「セーブオンは、オリジナル商品の『39円アイス』や税込100円の発泡酒『黄金(こがね)』など魅力的な商品も多く、地域に愛されていたコンビニでした。今回の結果は、経営母体にそれを維持していけるだけの体力がなかったということでしょう」

 こう話すのは、コンビニ評論家の田矢信二氏だ。

「コンビニ再編の動きは近年拡大を見せており、独自価値を生み出せない中堅コンビニは相次いで統合の憂き目に合っています」

 2010年、ファミリーマートが「am/pm」の吸収統合を発表。かつて1000店舗以上存在したam/pmは、それからたった1年で消滅した。さらに15年には、中堅コンビニの「スリーエフ」、「ポプラ」とローソンが資本提携。現在は、一部店舗をそれぞれ「ローソン・スリーエフ」、「ローソン・ポプラ」という看板に掛け替え、共同店舗として営業している。

 街から馴染みのチェーンが消えていく現状には、消費者として寂しさを感じるものだが…。

「セーブオンやポプラ、スリーエフの500店という規模は、企業組織としては決して小さくはありませんが、いまや全国各地に5万店超まで拡大したコンビニ業界においては事情が違います。各1万5000店と、“大手3社”が強大な規模を持つ業界で、中堅チェーンが共存共栄を図るのは、並大抵の努力では厳しいでしょう」(田矢氏)