若くして結婚したものの、経済的にも精神的にもなかなか自立できない……。最近の離婚相談から浮かび上がるのは、そんなカップルの姿だったようだ。

「とくに若年層の間で離婚が急増していました。厚生労働省の人口動態統計によれば、2009年の離婚総数は25万3000件。そのうち、結婚から20年以上経ったカップルの離婚件数は17%ですが、5年未満では36%と倍以上。当事務所でも、結婚5年未満の若い人からの離婚相談がこの3、4年で2~3割増えています」

 中でも目立つのは、200~300万円台と年収の低い夫を持つ女性からの相談だ。

「別れたい理由として価値観の違いなどを掲げる相談者が多いのですが、よく聞いてみると経済的な問題が大きい。『夫の収入が減った』『どこに勤めても長続きせず、何度も転職を繰り返す』などなど。家計の破綻が夫婦仲をこじらせ、互いの価値観も受け入れられなくなってしまう、というパターンのようです」

 若年カップルの離婚のもうひとつの原因が「親の存在」である。

 『専業主婦の母親を見て育ったから、結婚後も自分が働かなきゃならないなんて全然想定していませんでした』

 若い妻たちからそんな不平の声が上がっているというのだ。

 稼ぎも家事も、なるべく公平に分担しようという友達型カップルが増える一方、「大黒柱の夫と専業主婦の妻」という、かつての典型的な夫婦像を理想とする女性が少なくないらしい。

 親の干渉も激しくなっている。

 経済力のない娘の夫に失望し、「そんな男とはさっさと別れなさい」と仲を裂こうとする親。自ら弁護士事務所に赴き、離婚に動く親もいる。

「若いカップルの親は、年齢もまだ比較的若く体力もある。若い男性に比べて収入も高いので、発言力があるのです。子どもたちも、親の力を頼らないと結婚生活が成り立たないことが多く、つい耳を貸すようになるのでしょう。娘や息子への援助が、皮肉にも彼らの精神的、経済的な自立機会を阻害していると言えますね」

 親の若い頃と違い、今どきの若者をめぐる雇用情勢はかなり厳しい。だが、妻側の親はそれが理解できず、娘の夫の収入が減ると「甲斐性なし」のレッテルを貼ったりする。もっとも、専業主婦としてバッチリ家事や子育てをしてきた姑にしてみれば、今どきの妻もまた、「嫁失格」に思えるのかもしれない。

 いずれにしても、こうした親世代の「昭和的価値観」に影響され、つい相手を自分の父親、母親と比べてしまうカップルは珍しくないだろう。