なぜ「善意の防災ずきん」は被災者に喜ばれないのか防炎性能のない防災ずきんは、市販品であっても着火後数分で燃えてしまうという

災害が起こると、被災地に折り鶴を送ることの是非が問題になる。これと同様に、ミスマッチが起こるのではないかと思うものに、手作りの防災ずきんがある。今回は手作りの防災ずきんにスポットを当て、アウトドア流防災ガイドのあんどう・りす氏が問題点を解説する。

 災害が起こると、被災地に折り鶴を送る事の是非が問題になるそうです。ネット上では賛否両論の激論になりやすいように書かれていますが、みなさんはどう思われますか?

「被災地に千羽鶴はいらない」が議論巻き起こす 被災者を「傲慢」と怒る人たちの理由とは(出典:J-CASTニュース)

 賛成する側の主要な論調は 真心を込めた贈り物に対する敬意であり、反対する側の論調は、実際に不必要なものという事実重視かなと理解しています。

 私としては、賛成か反対かの激論はともあれ、支援したい気持ちと支援を求める気持ちのニーズのミスマッチがとても残念です。なんとかマッチングできる方法はないのかなと思うのです。

 実は、折り鶴と同じようにこれはミスマッチになってしまうのでは……と感じている問題があります。あまり書くと激論になって火に油を注ぐ事になってしまうのではないかとそれも危惧しているのですが……。対立をあおりたいのではなく、どうしたらマッチングできるか、みなさんのお知恵を拝借できればなと思っている、なんともなさけない今回の記事なのです。

 その問題というのは「手作り防災ずきん」のことです。全国で講演させていただくと、とても熱心に手作りで防災ずきんを作成されているところがあります。子どもたちの命を少しでも守ろうと、心を込めて、プレゼント用に手作りされています。ずきんの中にポケットを作って、母子手帳や防災グッズを入れられるように工夫されているものもあります。先日は、千人針のように多くの人にひと針ずつ縫っていただき、想いと安全を伝えたいと活動されている地域のお話もお聞きしました。

 ここで、知っておいていただきたいことがあります。折り鶴は人を傷つけることはありませんが、防災ずきんは防災グッズとしてプレゼントされるわけですから、生死に関わる場面で使われる可能性があるということです。