ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

電力利権と同じ構図?
日本の英語教育のガラパゴス化を招く
TOEIC偏重と経産省の罪
~中韓もTOEFLに舵を切った!

田村耕太郎
【第19回】 2011年5月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

経産省と経団連がつくったTOEIC

 日本のビジネス界ではTOEIC人気が急上昇だ。しかし、こちらアメリカではTOEICを知っている人は皆無に近い。私は出会ったことがない。私は日本人の英語力不足の根源にはTOEIC問題があるのではないかと思う。TOEIC問題は電力利権構造に似ている気がする。その背後に経産省と財界の癒着を感じるのだ。TOEIC志向を変えるか、TOEICの内容を変えるか、どちらかを実行しないと日本人の英語グローバル化は進まない気がする。

 TOEICは1970年代に、日本人の国際コミュニケーション能力に危機感を抱いた当時の通産省と経団連が米国ニュージャージー州プリンストンに本部がある世界最大の非営利テスト開発機関、ETS(Educational Testing Service)に働きかけて作った試験だ。ETSはTOEFLをはじめ、欧米の大学大学院への留学に課せられる試験やアメリカの公共機関や学校関係のテストの大半を開発・制作している。1977年9月から折衝を開始し、2年の研究開発を経てTOEICテストが実現。当初の動機は国を憂う純粋なものだったと思う。

 TOEICはマークシートでヒアリング(聴き取り)、リーディング(読解力)重視の試験だ。つまり、昔ながらの、「海外の知恵や技術を取り入れるための英語」の試験ともいえる。一方、今のTOEFLはライティング(書く力)とスピーキング(話す力)に大きく舵を切った。つまり発信能力を問う試験になっている。一般にTOEICがいくらできてもTOEFLで通用しないという。今の世の中、英語で発信することがさらに重要になっている。

 ある試験の専門家に言わせると、「学術的素養も問われるTOEFLでは当時の日本人に難しすぎた。よって、日本人に合わせた英語力試験を作る必要があり、それがTOEIC。TOEFLを欧米人と同じ土俵で争う硬式野球とすると、体力のない日本人用に生まれた軟式野球のようなローカルスポーツ」という。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

田村耕太郎

エール大学、ハーバード大学元研究員。
世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。前大阪日日新聞代表取締役社長。国立シンガポール大学公共政策大学院元研究員。
‘02年から‘10年まで2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。
著書には『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』などがある。

 

 


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」

欧米だ、シンガポールだ、韓国だ、中国だ、そんなことを言っても、キャッチアップのモデルはもはや世界に存在しない。日本は日本の現状に合わせて自らをモデルチェンジするしかない。坂の上にもはや雲はない!

「田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」」

⇒バックナンバー一覧