なぜリクルート社のビジネスは高確率でヒットするのか。そこには秘伝の「売り物設計」の考え方がある。マーケティング、広告、販促…それらの前に考えなくてはいけない、決定的に重要なこととは? 人の心を動かす究極のメソッドを新刊『どうすれば、売れるのか?』から一部を抜粋して紹介。

「どうすれば、売れるのか?」

 これはビジネスをしている人が抱える永遠のテーマかもしれません。すべてのビジネスパーソンが悩み、考えてきたテーマだと思います。そして「売る」ための新しいマーケティング手法が、時代とともに次から次に出てきます。

 かつては、従来型のマス広告を前提にした「AIDMA理論」がうたわれていました。これは、消費者がどのような“いきさつ”でその商品を買うかを分析したものです。それによると、

A:Attention(注意) その商品・サービスに注意を向ける(その商品を知る)
I:Interest(関心) 興味を持つ
D:Desire(欲求) 「ほしい!」という欲求が出てくる
M:Memory(記憶) 記憶に焼き付ける(覚えておく)
A:Action(購買) 店頭に足を運び、買う

 という流れです。そしてネット時代になると、「AISAS理論」になります。

A:Attention(注意) その商品・サービスに注意を向ける(その商品を知る)
I:Interest(関心) 興味を持つ
S:Search(検索) ネットで検索して情報を集める
A:Action(購買) (店頭、ネットを問わず)買う
S:Share(シェア) SNSなどで、シェアする

 という流れです。マーケティングの理論では、「消費者がこのように行動するので、これに合わせて商品を訴求すれば売れる!」と考えられています。

 これはこれで必要な考え方だと思います。ですが、このAIDMA理論、AISAS理論に当てはめた場合、抜け落ちる要素があります。そして、その要素が抜け落ちているからこそ、一生懸命マーケティングを考えても、一生懸命頑張っても「なぜか売れない」ということになるのです。

 その抜け落ちている要素とは、「商品」です。消費者が商品を買う流れで考えれば、「商品を知る」から始まります。ですが、企業(提供者)はその前に「商品を作る」という段階があるはずです。

 このAIDMAやAISASの行動パターンをもとにマーケティングをしようとすると、自分たちが作る商品を飛ばして、

「どのように消費者に認知してもらえばいいか?」
「どうやって興味を持ってもらおうか?」
「検索された時の情報を充実させよう」

 と考えることになってしまいます。これではいくら頑張っても売れません。マーケティングを考える前に、そもそも自分の商品がお客さんを惹きつけているかを考えなければいけない、お客さんを惹きつける商品でなければ、いくら“マーケティング”をしても意味がないのです。