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ヒット商品開発の舞台裏

立ち食いの「いきなり!ステーキ」はなぜ成功したのか

夏目幸明 [ジャーナリスト]
【第13回】 2016年2月18日
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定番化する商品・サービスには、いくつかの「法則」がある。2013年末に登場し、定番化しつつある「いきなり!ステーキ」にも、これらの戦略が応用されていた。その内容はアサヒビールの「スーパードライ」や「ユニクロ」のヒットに近い。一瀬邦夫社長へ取材した。

「ステーキを日常的に食べたい」
というニーズがあった

 注文カウンターへ向かうと、炭火が入ったグリルの隣に、大きな塊肉が並ぶ様子が見える。メニューはリブロースステーキが1グラム6円、「本格熟成国産牛サーロインステーキ」が1グラム10円など量り売り。特筆すべきは「立ち食い」であること。顧客の滞在時間は、ランチタイムで20分程度、ディナーでも30分程度でしかない――定番化した「いきなり!ステーキ」のシステムだ。

銀座6丁目店開店時の様子。回転率の高さを維持できるかどうかが、「いきなり!ステーキ」成功の肝だ

 いままで「立ち食い」と言えば、駅のそば、そして大阪の串カツなど安価な店が多かった。ではなぜ、このようなシステムを考えたのか? ペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長が話す。

 「ステーキは今まで『高級品』のイメージがあったと思います。私自身、そう思っていました(笑)。しかし世の中に『ステーキを日常的に食べたい』というニーズが生まれた、と読んだのです」

 同じく立ち食いシステムを導入している「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」が流行していることを考えても、いまの日本には「パッと食べたい」という需要があったのだ。そしてこれは、アサヒビール「スーパードライ」のヒットとよく似ている。

 スーパードライの発売は1987年。開発のきっかけは、元銀行マンが社長に就任し、徹底的なマーケティングを実施したことだった。調査の結果は、日本人のニーズが劇的に変化したことを如実に示した。高度経済成長期、つまみは野菜などが中心で、ビールには麦の旨みが求められていた。

 しかし80年代後半はバブルの時期。日本人の食生活は豊かになり、肉や揚げ物など、脂っこいつまみが増えていた。そこで消費者はビールに別のものを求め始めていた。肉や揚げ物の旨みとぶつかってしまう「麦の旨み」でなく、爽快なのどごし、いわゆる「キレ」を求めつつあったのだ。そこで同社は、あえて麦の旨みを抑え、痛快なのどごしが際だったビールをつくった。これが「スーパードライ」ヒットのストーリーだ。

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夏目幸明[ジャーナリスト]

1972年、愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店に入社。その後、雑誌記者に。小学館「DIME」の『ヒット商品開発秘話 UN.DON.COM』や講談社「週刊現代」の『社長の風景』などを連載中。著書に『大停電(ブラックアウト)を回避せよ!』(PHP研究所)などがある。


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