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「週刊文春」編集長の仕事術
【第24回】 2017年4月11日
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新谷学

ローソン会長・玉塚元一氏は『週刊文春編集長の仕事術』をこう読んだ

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「週刊文春」の現役編集長が初めて本を著し話題となっている、『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷学/ダイヤモンド社)。本書は出版・コンテンツ業界の枠を超えて、経営者やビジネスパーソンにも届き始めている。ローソン会長の玉塚元一氏も、本書を読んで感想を寄せてくださった一人だ。本書を読んでの感想を改めて聞いてきた。(編集:新田匡央、写真:宇佐見利明)

「とにかく面白そうだと思って手に取った」

編集部(以下、色文字):玉塚さんは、新谷さんとお会いになったことがあるとお聞きしました。本の内容についてお聞きする前に、関わりを持たれたきっかけを教えてください。

玉塚氏(以下略):ローソンの中国事業のアドバイザーとしてお世話になっている宋文州さんから、面白い人がいるから紹介するよと言われてお会いしたのが最初です。そのご縁で今回、新谷さんがご著書を送ってくださったのだと思います。

玉塚元一(たまつか・げんいち)
ローソン会長。85年慶應義塾大学法学部卒業後、旭硝子入社、シンガポール赴任後、米国に留学。97年ケース・ウェスタン・リザーブ大学院修了。98年サンダーバード大学院修了。98年日本IBMを経てファーストリテイリングに転じ、2002年社長。05年にユニクロ社長を辞任し退職後、リヴァンプ設立。10年ローソン入社、11年副社長、14年5月社長。16年6月より現職。

 世間を騒がす「あの」週刊文春の編集長が書かれた本ですから、とにかく面白そうだと思って手に取りました。読み終えてすぐに感想文を新谷さんに送ったのですが、それが宋さんのメールマガジンに載せられることになったり、この取材の話が持ち込まれたり、ちょっとした騒ぎになっていますね。

――本をお読みいただいて、最も強く感じられたのはどういうことでしょうか。

 ずばり、新谷さんは本物のプロフェッショナルだと思いました。

 いろいろな流れ、いろいろな運命によって私がローソンの会長をやっているように、新谷さんもまた、流れや運命に導かれて週刊文春という雑誌の編集長をやられているのだと思います。

 ただ、その姿勢は筋金入りのプロ、プロ根性の塊だと思います。週刊文春という「ファイナルプロダクト」に対する世間の人々のイメージはさまざまでしょうが、それは脇に置いておくと、プロフェッショナルとしての新谷さんに、純粋に敬服しました。この本は、新谷さんのすごさがわかりやすく書かれているので、思わず引き込まれてしまいましたね。

「経営者である私との共通項もあることに気づいた」

――本を読む前とあとで、新谷さんの印象は変わりましたか。

 先入観を持つのは褒められたことではありませんが、そうは言ってもお会いする前に想像していたのは事実です。私の抱いていたイメージは「黒縁の眼鏡をかけた、ちょっと怪しい感じの風貌の人」でした。でも実際にお会いすると、精悍で、シャープで、簡潔で論理的な話をされる魅力的な人でした。

 しかも、私との共通項もあることに気づきました。それは「スピード」「プロ根性」「マニュアル化しないこと」「人を大事にすること」などです。ビジネスは常に、状況と形勢が変わっていくものです。その状況と形勢を肌で感じ、適切なジャッジメントを繰り返すなかで徐々に形ができ上がっていきます。だからこそマニュアルありきではないし、人と向き合って話を聞くことが必要なのです。新谷さんは、とくに人に対する興味が強烈だと感じました。どうしてこの人はここでこういうジャッジメントを下したのか、どうしてこの人はこんな失敗をしてしまったのか。そこを徹底的に掘り下げるのですが、そこには愛情もあるように感じます。

――わかります。本書の刊行後、書かれた側の広報の方からお手紙が届いています。言ってみれば、新谷さんに「やられた」側の人なのに、ネガティブな内容ではなく、本が素晴らしかったという文面なのです。これも新谷さんの人間力なのでしょうね。

 そうかもしれません。私だけでなく、みなさんもプロフェッショナルとしての新谷さんに敬服したということなのでしょう。編集長という現場の長として、週刊文春というプロダクトをいかにして面白いものに仕上げていくか。そのために必要な人間関係を築き、必要な情報のアンテナを持ち、日々細かいことまで判断をして、一つのファイナルプロダクトを構築していく。そのプロセス、着眼点、スピード、人との関与、疑問点や不審点などを鋭敏に嗅ぎ分ける力、そして感度。そのすべてが優れています。

 優れたリーダーは感度が高く、放っておいたら目の前を通り過ぎてしまうピンチやチャンスを「絶対に逃してはいけない」と感じ取り、速やかに組織全体でアクションを起こすことができるものです。新谷さんはそれをやり続けられる人であり、どうやらその状況を楽しんでいる節があるように見えますね。

――たしかにそうですね。

 お会いしたときも感じましたが、本を読むとご自分の仕事が面白くて仕方がないという印象を強く感じます。天職なのでしょう。仕事に対する責任感と同時に、楽しんでいるがゆえのエネルギーレベルの高さを感じました。

――スピードといえば、コンビニエンスストアの経営も日々の変化が著しいなか、判断のスピードが求められると思います。玉塚さんがやられている1分、1秒単位のジャッジメントは、週刊誌と相通ずるものがあると思います。

 だからこそ感銘を受けて「新谷さんのおっしゃる通りです」という感想文を送る気になったのだと思います。これまで編集長という職種の人と親しく話したことはありませんでしたが、本を読んで、本質的には経営者との間に共通点があることに気づいたということではないでしょうか。

 私は、異業種の優れたリーダーから学ぶことは多いと感じています。私の後輩で、TBSのディレクターを務める福澤克雄君は私とはまったくの畑違いですが、彼がどういうことにこだわり、どういう感度を持ち、代表作『半沢直樹』をはじめとする数々の優れたドラマを生み出した背景には何があるのかなど、多くの本質的な学びを得ています。新谷さんから学んだことも、それに似た感じかもしれませんね。

――新谷さんとの印象的な会話やエピソードがあればお聞かせくださいますか。

 やっぱり……気になりますよね。「身の危険を感じないのか」ということは。でも平然と「ありますよ」とおっしゃるんですよね。おそらく、そういうことが日常茶飯事なのでしょうが、そういう腹のくくり方、逃げずに向き合う姿勢がいいですよね。

 いま、強烈な当事者意識と自立心を持って、課題を発見し、その解決のために勇気をもって突き進んでいくリーダーが求められています。新谷さんは起業家でも経営者でもない会社員ですが、リスクを負って、プロ根性と仕事に対するコミットメントで毎日戦い続けている真のリーダーだと思います。私はコンビニの経営はできますが、とても新谷さんのようなことはできませんね。

「山崎拓さんとのくだりは強烈です」

 ところで、新谷さんの「殺し文句」はご存じですか?

――親しき仲にも……ですか?

 そう。「親しき仲にもスキャンダル」。本の120ページに書かれた、山崎拓さんとのくだりは強烈です。私が新谷さんだったら、あそこまで入り込むことはできないし、逆に山崎さんの立場だったら、とてもあのような大人の対応はできないでしょう。私が新谷さんと友だちになったとしても「親しき仲にもスキャンダルでよろしくお願いします。遠慮なく書かせていただきます」と言われるのでしょうね。

――ほかに、本の中で「この1行にしびれた」という言葉があれば教えてください。

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新谷学

1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。89年に文藝春秋に入社し、「Number」「マルコポーロ」編集部、「週刊文春」記者・デスク、月刊「文藝春秋」編集部、ノンフィクション局第一部長などを経て、2012年より「週刊文春」編集長。

 


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