5月病を侮るな!不安障害やうつ病に悪化することも症状があるのなら5月でなくとも何らかの疾患を疑ったほうが身のためだ

環境変化への不安が高まる5月
一時的にうつ状態を引き起こすこともある

「木の芽どき」や「新緑の季節」と呼ばれるこの季節は、1年を通して最も気持ちのいい時期だ。気持ちの浮き立つ時期と考える人が多いだろう。だが木の芽どきには精神状態が不安定になりやすいとの俗説もあるように、悪い意味で気持ちの浮き立つ時期とも言えるかもしれない。それに加え就職や進学、企業などでは配置転換もよく行われる時期でもある。まさに(期待と)不安の時期なのだ。いわゆる「5月病」の季節でもある。

「5月病」とは医学上の正式な病名ではない。環境が変わってしばらくたった新入社員や新入生を中心に、5月頃になるとやる気が出ない、気分が沈みがちという状態がよくみられることから名付けられたものだ。

 新しい生活パターンへの対応、とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。多くの人が経験したことがあるはずだが、気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともある。とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えない。

 しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼす。

 例えば、気分が落ち込み体調も優れず会社を休んでしまったが、そのことにより自分を責める、他者の視線も気になり出社しにくくなる、あるいは心身の調子が悪いのに無理して働いているうちに本格的に体調を崩し精神状態も最悪になる、などの影響だ。症状を深めるように悪循環を引き起こすと、「うつ病」と呼ばれる状態になってしまう。病院へ出向けば、うつ病などの「気分障害」か、適応障害などの「不安障害」と診断されることになるだろう。