「5月病」の原因は何なのか?
長い日常への入口で考える
「5月病」という言葉は大学の新入生に対して使われることが多いが、新社会人にも5月病はある。
会社によって様々だが、新入社員にとって4月は研修があったり、歓迎会があったり、初任給をもらったりする特別な1ヵ月だが、5月はこれから延々続く長い日常の始まりの月だ。
果たして、この会社で良かったのか。このままここで働いていていいのだろうか。自分は会社や仕事についていくことができるだろうか。こうした疑問が湧いて、人によっては憂鬱な気分になってもおかしくはない。
まず、果たしてこれでいいのか、という問いを持つことは悪くないと言っておこう。
学生が就職活動中に見る会社は、しょせんよそ行きの姿の会社であり、また自分自身も「お客様」扱いされていたのだ。そして、何よりも実際の仕事をやってみたわけではなかったから、「仕事の実感」は就職してはじめて持つものだ。
この時点で、仕事に対する評価が変わることは十分あり得る。
また、自分の能力が仕事に対して足りているのかが、改めて心配になることがあってもおかしくない。
加えて、配属先の人間関係が重要だ。どんなに自分に合った仕事でも、自分と合わない人たちの中でその仕事を続けることが困難な場合がある。どのような人々と一緒に働くかに関しては運の側面が大きく、筆者は新入社員の頃ではないが、転職して入ったある会社で自分の好きな仕事に予定通りに配属されたものの「この人間関係の中で働き続けるのは無理だ」と感じて、必死に次の転職先を探したことがある。当時は、ほぼ定時に逃げるように会社を出て(仕事は楽だったのだ)、3本立ての映画をよく見たものだった。若い頃の嫌な思い出である。