不注意・せかせか・衝動的「ADHD脳」社員の活かし方(上)写真はイメージです

配属された新入社員もそろそろ職場に慣れる頃だ。なかには、やたらと不注意で気が散りやすい、非常に落ち着きがないなどの「変わった新入社員」がいるかもしれない。こうした人は「脳に癖」を持っている場合が少なくない。「ADHD脳」と呼ばれるもので、ADHD脳の人は、常識に囚われていない分、いい思いつきやアイデアを生む。このため、外資系のIT企業やクリエイティブな業種に多いと言われる。ADHD脳の人は職場ではどんな傾向があるのか、実際にどう接すべきなのか。ADHDをはじめて日本に本格的に紹介した専門医、司馬理英子医師に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

「この子ヤバくない?」
新人の言動に不安が募る

 新年度が始まって3週間、緊張しまくっていた新入社員たちも職場に慣れ、“その人らしさ”がはっきりと見えてくる今日この頃。

 (あれ、この子ヤバくない?)と、心配になる次のようなシーンに心当たりはないだろうか。

◎シーン1

 今日は課の勉強会――。新人たちには、仕事を通して発見した会社の課題と改善策について発表してもらうことになっている。中堅社員のAさんが特に期待しているのはB君だ。きびきび動くし、この企画の話があった際には、ヤル気をみなぎらせていたからだ。ところが……。

 Aさん「どう、発表の準備はできた?」

 B君「え、なんのことですか?」

 Aさん「勉強会のことだよ。会社の課題と改善策について、君たちが発表することになっている……」