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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

行政がやるべき仕事にも民間のサポートを。
メディアが伝えない、被災地の「支援ニーズ」

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第45回】 2011年6月7日
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 東北の被災地を訪れてみると、現地でしか分からないさまざまなニーズが見えてくる。マス・メディアがあまり伝えないことでも、被災地の人たちにとっては重大な課題もある。

大船渡市の仮設住宅。消火器が全く設置されていないため、万が一、一軒から出火した場合でも、一帯が全焼してしまう可能性もある。

 先日、大船渡市を訪れたときに聞いた話では、仮設住宅に消火器が全く設置されていないという。写真を見てもらえば分かるが、仮設住宅は概ね狭い場所に密集して建設されているので、消火器がなければどこかの住宅で火事を出せば、その場所の仮設住宅の全てが燃えてしまう危険性がある。

 仮設住宅の防災については、総務省消防庁よりハウスメーカーに執務資料が配付されており、「一棟につき1本」の消火器設置が謳われている。しかし、仮設住宅の住人が気づかない場所に設置されていたり、そもそも消火器が設置されていることを知らなかったりする。周知されていないのだ。また、住人のニーズは「一棟に1本」ではなく、「一戸に1本」である。そうでなければ、やはり不安になるだろうし、大きな火災になる危険性は否定できないだろう。

 このような話はニュースで取り上げにくい「小さな話」だが、住んでいる被災者の人たちにとっては「重大な話」だ。

刻々と変わる現地のニーズ。
被災地のリアルな声を

 仮設住宅は被災者の生活復興のための重要なインフラだが、仮設なだけに不具合も多い。先日の台風の時には、かなりの件数で雨漏りが発生したり、その他にも天井がゆがんでいたり、床がでこぼこしていたり、エアコンの配線が間違っていて作動しないなどの問題が起きている。結露もひどく、床や布団などがビショビショになっている家も多いという。秋の台風シーズンや寒い冬を迎えたときにどうなるのか今から心配になるが、そういった中でも、命にもかかわりかねない消火器の問題解決は急務だろう。

 大船渡市は行政の対応も素早く、5月上旬の時点ですでに義援金の配布も行われていた。仮設住宅の建設も進んでいて、合計で1790戸が建設予定。大船渡町だけで約500戸が建設されるという。それでもいろいろと問題が起きてくるのは行政の怠慢というより、行政の力だけでは足りないということだろう。行政がやるべき仕事にも民間のサポートが必要なのだ。

 というわけで、筆者は仮設住宅の消火器サポートもやりたいと考えている。簡単にいえば、寄付を集めて消火器を購入し、仮設住宅に提供するということ。読者の皆さんにも、被災者の生活の安全のためにぜひご協力をお願いしたい。詳しくは僕が立ち上げた東北復興支援プロジェクト「Tohoku Rising(東北ライジング)」のウェブサイトで近日中に発表するのでご覧いただきたい。

>> Tohoku Rising ウェブサイト http://www.tohokurising.org/

 この他にも、被災地からはさまざまな話が聞こえてくる。ハエが大量発生しているとか、ガレキに埋もれた食料を求めて熊が出没するようになったとか。これらの話は伝聞なので真偽は定かではないが、ありそうな話でもある。とくにこれからの季節、大量の殺虫剤やハエ取り紙の支援が必要になるかもしれない。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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