同僚とは、ランチでコミュニケーションを図る

上司との関係や人事への報告も大事ですが、同僚とのふだんからのコミュニケーションも重要です。

介護する人は、自分の事情を理解してもらいたいものです。
しかし、介護を経験していない人には、介護をしている人の状況や苦労はわからなくて当然だということを、忘れてはいけません。

職場の同僚に「わかってもらえない」「助けてもらえない」と感じたときは、何がどう大変なのかを具体的に言いましょう。
たとえば、こんな感じで伝えます。

「最近、母の認知症が進み、やかんを空焚きすることも増えて、1人にするのが怖いんです」

「デイサービスのお迎えが9時半なんです。私が出勤してしまってからお迎えが来るまでの2時間をどうケアするかを今、ケアマネさんと相談中ですが、なかなかいい方法が見つからなくて困っています」

介護が始まると、どうしても時間に追われるため、同僚との接点はどんどん少なくなっていきます。

私も、朝はギリギリに出勤し、ランチの時間を削って仕事をこなし、定時に退社する毎日でしたから、歓送迎会や忘年会など職場の親睦会はすべて欠席していました。
同僚と世間話どころか挨拶を交わす余裕もありません。

最初はあまり気にしていませんでしたが、いつの間にか、気軽に話せる人がいなくなり、自分の居場所がないと感じるようになっていました。

「このままではまずい」と思った私は、せめてランチは同僚と一緒にするように心がけました。

でも最初は、同僚の輪の中に入っても、緊張して何も話せません。
「この時間に仕事を片付けられたら、後がラクなんだけど……」という、貴重な時間を無駄にしているような苦しい気持ちと居心地の悪さを感じていました。

しかし、同僚が語る子育ての悩み、ご近所付き合いのトラブルなどを聞いているうちに「介護をしている自分だけが大変じゃないんだ」とわかりました。

そして、私も介護の悩みを少しずつ話すことができるようになったのです。

すると、「そうか。橋中さん、それはホント大変ね」と介護の苦労が伝わる瞬間が生まれ、少しずつ同僚との距離が縮まっていきました。

この経験をきっかけに、時間がない中で、同僚とどうコミュニケーションをとるかを考えるようになりました。