ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
日本総研 「次世代の国づくり」

大震災による失職リスクは45~65万人
対応策は原因と時間軸を重視せよ
――日本総合研究所調査部主席研究員 山田 久

山田 久 [日本総合研究所・調査部長・チーフエコノミスト]
【第3回】 2011年6月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 東日本大震災発生から2ヵ月余りが経過し、被災者の生活正常化が喫緊の課題となっているが、その際に最重要課題の一つとして浮上してくるのが雇用の確保である。本稿では、多面にわたる東日本大震災の雇用への影響を整理したうえで、壊滅的な被害を受けた被災地での対応を中心に、雇用再生に向けた課題について提言する。

多面的な影響ルート

 東日本大震災は、巨大地震に大津波、原発事故が重なった「複合大災害」となったため、その雇用・産業への影響ルートも多面に及ぶ。

①被災地における直接的影響……被災地では広範囲に産業基盤が破壊され、一瞬にして多くの雇用の受け皿が失われた。避難者数などから推定して、被災により事業の再開のめどが立たない自営や事業主も含めれば、さしあたり約14~20万人が職を失ったと試算される(図表1)。

②サプライチェーン中断による影響……被災地には電気機械や自動車部品、化学産業等の集積があり、少なからぬ工場が深刻な打撃を受けた。今回の震災によりサプライチェーンのあちこちが痛んだ形であり、全体の修復には半年程度かかる見通しである。

 ちなみに、2011年度上期の乗用車生産が震災前に比べて8割水準にとどまる場合、サプライチェーンにかかわる企業全体の生産が停滞することで、12万人の雇用が失われる可能性がある。6割水準で低迷すれば、25万人分の雇用調整圧力が生まれると試算される(図表2)。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

山田 久 [日本総合研究所・調査部長・チーフエコノミスト]

やまだ ひさし/1987年京都大学経済学部卒業、2003年法政大学大学院修士課程(経済学)修了。住友銀行(現三井住友銀行)、日本経済研究センター出向等を経て93年より日本総合研究所調査部出向。同経済研究センター所長、マクロ経済研究センター所長、ビジネス戦略研究センター所長等を経て11年より現職。専門はマクロ経済分析、経済政策、労働経済。著書に「北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか(共著)、「市場主義3.0」、「デフレ反転の成長戦略『値下げ・賃下げの罠』からどう脱却するか」、「賃金デフレ」など。


日本総研 「次世代の国づくり」

日本はまさに歴史の転換点にたっている。この認識に立ち、日本総研は2009年より「次世代の国づくり」をテーマに活動している。その活動の一環として09年3月より報道関係者を対象とし、勉強会を開催してきた。本連載は11年度に開催する勉強会の内容を基に、日本総研の研究員が総力を結集して、次世代の国づくりに向け、多岐にわたるテーマを提言していく。

「日本総研 「次世代の国づくり」」

⇒バックナンバー一覧