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森信茂樹の目覚めよ!納税者

復興税制特区はビジネスを呼び込むために
法人税のかからない「合同会社」で

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第6回】 2011年6月10日
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沖縄金融税制特区が
効果を上げていない理由

 復興特区の議論が始まった。今後の国と地方の関係を考えると、この機会に地方分権のモデルとなるような特区を構築することは、大きな意義がある。地方が自由にお金を使えるような「復興交付金」制度を創設することや、縦割りを排した包括的な規制緩和の具体例が提示されれば、今後の地方分権の具体的モデルとして、全国レベルへの適用が可能となる。

 では、「税制」という分野では、どのような特区が考えられるだろうか。もちろん目的は、震災地域にビジネスを呼び込み経済を活性化するとともに、今後の新たなモデルとなることを目指すことである。

 現在、税制特区としては、沖縄金融税制特区がある。これは、常時従業員数が20名以上である新設法人に対して、法人税減税(35%の課税所得控除、機械装置等の特別償却等)や、法人事業税、不動産取得税、固定資産税の免除などを設けるものである。しかし、この税制の実際の適用件数は一桁と少なく、お世辞にも効果を上げているとは言えないものである。

 その原因は、課税の減免という税制の優遇措置は、当面、利益の出ない企業にとっては効果がないことにある。つまり、税制特区は、利益の出るビジネスや起業を想定したものであるが、実際に利益を出すことは容易ではなく時間がかかるということである。

人的資産を生かす「合同会社」は
なぜ普及しないのか

 そこで、この際、今後のわが国経済活性化のモデルとなるような税制を、特区税制として提示してみたい。それを考えるに当たっては、岩井克人国際基督教大学客員教授の、日経新聞(5月30日朝刊)のインタビューが大きな参考になる。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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