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日本を元気にする新・経営学教室

ボトムアップ型組織の特徴が
如実に表れた震災対応
そういう組織をいかにして動かすか
慶應義塾大学ビジネススクール教授 高木晴夫

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第19回】 2011年6月13日
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 今回は番外編である。連載の本筋から離れて、東日本大震災でなぜ対応が遅れていると、批判されているかについて考えてみる。

 みなさんがこれから述べることを読むと、きっと「新鮮味がない」「そんなこと知っている」「夢がない」と思われるかもしれない。ただ、「そのようなものだ」ということを、実は当事者も十分知らずに動いている。だから、「そのようなものだ」ということを知らないで動くよりも、知っていて動く方が、少しはよい結果をもたらす。

 長年にわたって組織論を研究してきた者として、未曾有の大災害に当たっていま言えることは、正直に言えばその程度のことである。

大転換期においても
日本に強いリーダーはいなかった

 日本及び日本人が、今回のような大災害に限らず、それまで行われていたことが破壊されたり停止して、再起を図らなくてはならない事態に直面したときに、素晴らしいリーダーがいて、その旗の下に素晴らしい復興を果たしたことはない。

 なぜ私がそのこと知っているかといえば、日本の歴史をみるとそういう例がないからである。大きな出来事が起こったときに、強いリーダーがいて、ビジョンを示し、戦略を描いて、それを下にいる実行部隊に指示して、部隊が所期の戦略目的を達成するように動いていくというようなことは、日本ではまず起こらない(この書き方は「強いリーダー」をどのように定義するかで変わる。ここでは「世界史に名を刻んだほど大きなことをした」という意味で「強い」という言葉の意味にしたい)。

 もちろん世界のどこの国でも、強いリーダーによるトップダウン型の変革が起こるわけではないが、われわれはそれが起きている国を、二つ、三つ知っている。そうした国の代表は、たとえばアメリカであり、シンガポールだろう。程度の差こそあれ、それらの国のリーダーには、ある程度、強い権限が集中している。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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