これはかなり有力な説のように流布されているが、因果関係としては正しくないと私は思う。震災時にフジテレビに批判が集まったのは事実だが、そもそもテレビ局の姿勢に問題があるからそのテレビ局の番組を見ない、という行動をとる人は少数派だ。実際、会社として一番社会問題を起こしてきたNHKは、籾井前会長の下でも好調に視聴率を伸ばしてきた。問題があるテレビ局でも、番組が面白ければ視聴者は見る。これが正しい因果関係だ。

 そして3つ目は「韓流に肩入れしすぎた」という説。都市伝説的には、韓国色が強くなりすぎて視聴者が去ったというものだ。

 実際は、韓流ブームが来たときに、いち早くフジテレビが韓流ドラマやK-POPの利権を押さえに行ったというのが正しい。それが慰安婦問題で世間の空気が変わったため、フジテレビは批判を受けるようになった。

 しかし、これも凋落の理由としては弱い。なぜなら今でも、日テレ、TBS、NHKなど、他局はBSを中心に韓流ドラマをバンバン流しているからだ。韓流ドラマは面白いわりには価格が安い。コスト上の理由で、テレビ局は各社ともに重宝して利用している。フジテレビだけが韓流一色などという話ではないのだ。

 こうした都市伝説的なものよりも、むしろ本当の問題は、構造的な部分で根深かったはずだ。そこで亀山改革が期待されたわけだ。

方向性が誤っていたわけではない
改革者として敵が多かっただけ

 亀山改革として行われたことは、大きく2つある。1つは社員の3分の2にあたる1000人規模の人事異動。これで危機感を社内に浸透させると共に、マンネリ感を打破しようとした。

 そしてもう1つは『笑っていいとも!』に代表される長寿番組の打ち切り。『笑っていいとも!』はともかく、他にも視聴率が低いわりには惰性で続いていた元看板番組がフジテレビには多かった。そこにメスを入れて新陳代謝を図ったわけだ。

 この番組刷新だが、『ごきげんよう』『昼ドラ』まではいけたのだが、すべてのお荷物番組に対して打ち切りが断行できたわけではない。長寿番組に出演する大物芸人の抵抗で、打ち切るべき番組の終了が回避されてしまっている。ましてや『サザエさん』に手をつけることは叶わなかったようだ。