なぜ、亀山改革はうまくいかなかったのか。状況的には簡単に説明がつく。亀山社長は改革者としては敵が多かったのだ。「嫉妬されていた」という言い方の方が適切かもしれない。

 改革においては、正しいとはいえ痛みが伴うことを断行しようとすると、組織のいたるところで抵抗勢力がサボタージュしようとする。その際に、「嫉妬された若手のホープ」には非常に強い逆風が吹く。これが亀山改革の挫折につながったと私は思う。

若返りとは真逆の人事が奏功?
よいタイミングでよい新社長が登場

 では今後、フジテレビの改革はどうなるのか?

 実は、日本特有の政治力学にその答えがありそうだ。日本では歴史的に見て、血を流すような改革は大概途中で失敗に終わる。その後どうなるかというと、改革の抵抗勢力から出たトップが結局同じことをするのだ。

 江戸時代末期、外圧に屈して開国をしようとした幕府の大老・井伊直弼は凶刃に倒れるが、開国に抵抗した尊王攘夷派は明治維新でもっと開国を推進することになる。また、蘇我入鹿の姻戚政治を排除するために乙巳の変で蘇我氏を滅ぼした藤原鎌足の子孫は、天皇家との姻戚関係を軸に強力な摂関政治を行う。

 人事刷新も番組刷新も方向性としては間違っていない。正しくても急進的ゆえに頓挫した改革は、その後に登場するより温厚でしたたかな人物によって成し遂げられることが、歴史的には多いのだ。

 そこで気になるのは新社長だ。亀山氏より13歳も年長の宮内正喜氏がフジテレビの次期社長に就任する。若返りとは真逆の人事に「なぜ?」と疑問の声が上がっているが、実は亀山社長が捲いた改革の種を収穫するには、老獪な人材の方が向いている。

 低迷フジテレビの変革期にあたっては、いいタイミングでいい経歴の人が新社長に就任するように私には見えるのだが、どうだろう。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)