また、百貨店事業の収益力強化の道筋も見えない。同業他社はここ数年、不振の本業をカバーするため、さまざまな工夫に乗り出している。

 たとえばJ・フロントは、4月に「GINZA6」をオープンさせたように、テナントを入れて賃料を稼ぐ「不動産業」に力を注ぎ、景気や消費動向に左右されず、収支が安定しやすいビジネスモデルへの転換を図っている。また高島屋は、ショッピングセンターなどの店舗開発で稼ぐ関連会社を育てて収益をカバーしている。

 対する三越伊勢丹HDは、競合他社と比べて“周回遅れ”の感は否めない。その対策として、大西前社長は旅行やエステなどの会社を買収し、収益源の多角化を図ろうとしてきたのだ。

 もっとも中計の達成度や業績を見れば、大西路線の成果には確かに疑問符が付く。杉江体制に入り、その問題点の洗い出しがようやく始まったわけだが、かといって明確な成長戦略があるわけでもない。立て直しに残された時間は、決して多くはない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 岡田 悟)