病院窓口での高額自己負担を大幅に減らす方法を覚えておこう

 前回の本コラム『貧困転落への第一歩「医療費の申請忘れ」はあなどれない』では、「高額療養費」の存在を知らなかったために、貧困に陥ってしまったAさんのケースを紹介した。

 高額療養費は、福祉元年といわれた1973年に導入された健康保険の制度で、医療費が家計に過度な負担を与えないように、患者が1ヵ月に支払う医療費の自己負担額に上限を設けたものだ。

 現在、70歳未満の人の高額療養費の限度額は、患者の所得によって現在は5段階に分類されているが、健康保険証を見ただけでは、患者の所得区分は判断できない。そのため、以前は病院や診療所の窓口では、いったん年齢に応じた自己負担割合を支払ったあとで、健康保険組合に申請して差額を払い戻してもらう手続きが必要だった。

 そうした手続きの煩雑さが、Aさんのような悲劇を生む原因になったわけだ。

 だが、あるアイテムがあれば、高額療養費の払い戻し手続きをしなくて、最初から高額療養費の限度額を支払えばよくなるのだ。

 そのアイテムが「限度額適用認定証」だ。

2010年4月から通院にも
利用可能になった認定証

 2015年1月から、70歳未満の人の高額療養費の限度額は、所得に応じて5段階に分類された。たとえば、年収370万~770万円の人は所得区分が「ウ」に分類され、限度額は【8万100円+(医療費-26万7000円)×1%】だ。

 医療費が100万円だった場合、高額療養費の限度額は8万7430円だが、以前は医療機関の窓口で3割の30万円を支払ったあとで、差額の21万2570円を払い戻してもらう仕組みとなっていた。