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困難極める被災地の時価算定
被災者の対立要因となる可能性

週刊ダイヤモンド編集部
2011年6月29日
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被災地の土地の時価は、立場によって「高く」「低く」と対立する 東日本大震災の被災地の地価をめぐって混乱が続いている

 7月1日の路線価の発表を契機にこの問題が表面化しそうだ。路線価は、国税庁が1月1日時点の地価の80%で計算し、相続税などを算定する際の基準となる価額。

 多くの死者を出した被災地では今年、多くの相続が発生すると見込まれているが、震災後、不動産価格が急落しており、1月1日時点の地価を基に課税することが問題視されていた。だが、4月下旬に施行された臨時特例法で、被災地では、「震災発生直後の価額」を使用することが認められた。

 ただ、それでも問題は解決しなかった。「発生直後の価額」が不明だからだ。

 過去の大災害では、路線価の減額割合を定めた補正率を出して対応した。今回も同様の対応が予想されるが、被害が広範囲にわたるうえ、「がれきの山」「塩害」「放射能汚染」「風評」など減額の要因が多様で、説得力のある計算方法の提示は困難を極めると見られている。複数の不動産鑑定士は「一定期間後に復興すると仮定して現在価値を算出するのだろうが、想定次第で時価はいくらにでもできる」と指摘する。

 相続税を払う被災者は時価が低いほうがいい。問題は、時価が高いほど望ましい被災者も多数いることだ。今後予想される補償や被災地の買い取りの対象となる被災者がそれだ。

 路線価に続き、9月には「7月1日時点の地価」である「基準地価」を各自治体が発表するが、万人が納得する時価の提示は不可能である。説得力に欠ける時価は被災者の対立要因にもなりうる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木 豪)

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