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超音波が骨の治りを早める!
プロスポーツ選手に広がる骨折を早く治す秘策

武田京子 [毘沙門堂編集記者]
【第4回】
超音波骨折治療器(写真提供:帝京大学医学部・松下隆教授)

 照射に使うのは、写真のような専用の装置。この装置から出るのは、通常のエコー検査で使われる時と同程度の低出力のもの。照射は、患者自身が、自宅などで毎日行う必要がある。とはいえ、機器を装着してスイッチを入れるだけ。照射時間は1日たったの20分だ。

 この治療機器から出る超音波の出力は、通常の検査機器と同じだが、その出方に特徴がある。1万分の2秒照射した後、1万分の8秒休止するという断続的なパルス状の刺激を与えるのである。

 「骨は機械的な刺激があることで、治癒が早まることがわかっていた。これを、メカニカルストレスによる骨癒合促進という。例えば、折れた足を松葉杖を使って地面に付かないように過ごしたときよりも、少し地面に足をつけながら歩くようにした方が治りが早い。

 超音波のパルス状の刺激も、同様のメカニカルストレスとなり、治癒を早めると考えられる。しかも、このパルス周波数が骨の治癒には最も適しており、他の周波数ではあまり効果がないこともわかっている」と帝京大学医学部整形外科の松下隆教授は話す。

 どうして、機械的な刺激があると治癒が早まるのか、その具体的なメカニズムはまだわかっていない。しかし、「超音波の刺激により、骨の元となる細胞が、骨の成長を高める因子の分泌を高めたり、その因子によって骨の分化が促され、骨の修復過程が速く進むのではないかと考えられる」と松下教授は説明する。

 この治療が適しているのは、なるべく早く骨折を治したいという人である。しかし、超音波骨折治療が向くのはそうしたケースばかりではない。

 「実は、骨折したばかりの治療はもちろんのこと、骨折してから時間がたつものの治りが遅いケースでも効果を発揮する。また、周辺の筋肉などが傷ついていたり、骨折した部分のズレが大きいといった難治性の骨折にもいい。さらに、糖尿病の既往がある人や、喫煙者は骨折の治りが遅くなるが、超音波骨折治療では治癒を早めることができる」と打ち明ける。

 超音波骨折治療法が、先進医療の対象となるのは、四肢の単純な皮下骨折で、手術を行ったケースに限られる。一方、四肢の骨折で骨折後3ヵ月以上たっても治癒が遅い難治性の骨折の場合および、四肢の開放骨折(折れた骨が皮膚を突き破っている状態)、粉砕骨折(骨が細かく砕けた状態)の術後で受傷から3週間以内の場合には、健康保険の対象となる。その他手術が必要ない場合などには、自由診療だ。

 帝京大学医学部附属病院の場合には、先進医療の機器の貸し出しも含めた治療費は、7万円ほどである。一刻も早く仕事復帰したい人には、高い出費ということでもないだろう。

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武田京子 [毘沙門堂編集記者]

総合医学出版社・毘沙門堂の編集記者。新聞系出版社で医学専門雑誌、医療・福祉施設向け経営誌、健康雑誌などの記者として、医療・健康分野での取材・編集キャリアを積む。現在は、医学専門誌、消費者向け健康誌、一般紙などを通じ、様々な読者層に向けて、医療、健康分野に関する記事を発信している。


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