高齢者は自宅内で転倒・骨折することが、寝たきりを引き起こす大きなリスクにあります。バリアフリーを意識して段差をなくす対策が多いですが、実はソファやタンスなど大きな家具が原因で転倒を誘発してしまうケースも少なくありません。本記事では、筆者が実際に手がけた、「家具と配置の見直し」で家族のトラブルが改善したケーススタディーを紹介します。(一級建築士/模様替えアドバイザー 志鎌のり子)
段差だけじゃない!家具と配置が危ない
「段差をなくすリフォームをしたのに、母が家の中で転んでしまった」――こう嘆くのは、都内在住のAさん(80代女性)の娘さん(50代)です。娘さん夫婦がAさんと同居するために、実家をバリアフリー化した直後に転倒事故を起こしたといいます。
リビングにある幅の広いソファが原因でした。ソファのせいで歩けるスペースがわずか45cmほどしかなく、夜中にトイレへ向かう際、寝ぼけていたAさんはソファの角にすねをぶつけてバランスを崩し、そのまま転倒してしまったのです。
幸い骨折は免れたものの、膝には大きなアザができ、しばらく動きづらい状態が続きました。「このまま要介護状態になったらどうしよう」と、娘さんは気が気ではなかったそうです。
娘さんが実家を見回したところ、他にも転んでしまいそうな狭い場所があることに気づきました。そこで、家具の見直しや配置替えを決心。相談依頼を受けた私は早速、以下のご提案をしました。





