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除染を急げば大幅に放射線量は減少する
市民の健康を守れるのは自治体

福島原発震災 チェルノブイリの教訓(11)

坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
2011年7月1日
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 除染は早く進めたほうがいい。とはいうものの、政府は動かず、自治体は政府の指示を待つ、という拘束された状況が続いている。福島県は県内でかなり詳細な放射線量の計測を進めており、その結果を待って除染対策を進めるようだ。すでに福島市内の小学校と通学路で除染の実証実験を行なっていて、大きな効果が確認されている(★注①)。

 200km離れた首都圏も同じだ。首都圏でも福島県の一部と同様の放射能汚染地域があることは前回報告したとおりである。もちろん、福島市と比べれば一桁低い放射線量だが、通常より5倍から10倍高い地域は前回の汚染地図でわかるだろう。

 首都圏の自治体や市民でもすぐにできることはある。たとえば側溝、吹き溜まり、雑草が繁茂しているところ、雨どいの下などにマイクロ・ホットスポットがあることは福島県の実証実験でもわかっている。そのようなポイントを発見して掃除(除染)すれば放射線量は確実に下がる。

 首都圏の各区役所や市役所でも放射線量の計測を継続しているが、マイクロ・ホットスポットの発見ができていないように思う。福島県の経験を役立てよう。

 それにしてもどうすればいいかわからない、という市民や自治体のために、京都精華大学の山田国広教授、細川弘明教授らが、だれでもできる除染のマニュアルを作成中だ。これを「放射能除染・回復プロジェクト」と名づけて準備中だそうだ。

 水で洗い流すのではなく、粘着テープや洗濯ノリで剥ぎ取るもので、詳細をマニュアル化して7月中旬に福島市で発表すると報じられた(「京都新聞」2011年6月24日付)。先週、テレビのニュースで見た読者も多いだろう。山田教授は環境汚染と回復の専門家としてよく知られている。大いに期待しよう。

 セシウム137の半減期は30年、と聞いただけでうんざりし、意欲がなくなりそうだが、土壌に沈着した放射性物質はセシウム137とセシウム134が多いが、どうやらこの二つの放射性セシウムの量の比は1:1のようである。すると、全体の半減期は30年よりはるかに短いと考えられる。なぜならば、セシウム134の半減期は2.06年だからである。

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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


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