関東地方の都庁、県庁、区役所、市役所が地域内でかなり細かく空間放射線量の測定を進めており、各役所のホームページで公開している。実態がかなりわかってきた。数値を見ると、想像以上に高い地域があり、3月下旬に放射能雲(プルーム)が風に乗って関東平野に到達し、雨とともに放射性物質が地上に降下し、放射線を出し続けていることがわかる。
ここで紹介する放射能汚染図は、群馬大学教育学部地学教室の早川由紀夫教授が、東北・関東の各自治体が観測した数値を集めたデータをもとにして地図上に表し、ブログで発表したものである。等高線のように見えるエリアは、放射線量の値を結んだ等値線だ。
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本稿では早川教授の了解を得て地図を転載する。地図を拡大しながら読者もすみずみまでご覧いただきたい。筆者は各自治体が公表している数値を見ながら地図を見ているが、慎重にマッピングされた精緻なものである。初めて見る読者も多いと思われる。これが汚染の実態なのである。
関東平野の状況については新聞やテレビも先週から今週にかけて断片的に報じているが、数値を書いているだけで要領をえないし、結論もない。新聞を読むのはムダである。
「週刊現代」「アエラ」「週刊朝日」の今週号(6月20日発売号)では編集者・記者が独自に計測したデータを掲載しており、とくに東京東部や千葉県東葛地域の状況がルポされている。新聞より雑誌のほうが役に立つ。
各誌が独自に計測したデータを見ると、傾向は自治体の観測結果と同じだった。放射線量の地域的な頂点は千葉県柏市、流山市あたりで、ついで松戸市、茨城県守谷市である。東京都東部や茨城県南西部、千葉県北西部の数値が高い。
一方、福島県中通りから南へ、栃木県北部、群馬県西部も高く、風と雨によって関東平野の一部が相当程度汚染されたことがわかる。
以上、筆者は「高い」「相当程度」などとあいまいな表現を使ったが、地図の左上の凡例をご覧いただきたい。
地図を関東平野に絞り、緑色と黄色のエリアに注目しよう。緑色は0.25μSv/h(毎時マイクロシーベルト)以上、黄色は0.5μSv/hから1μSv/hのあいだである。平常時は、関東地方の放射線量はだいたい0.05μSv/h前後だから、5倍から20倍は高い。