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岸博幸のクリエイティブ国富論

タイムワーナーがCATVに続きAOLも分離へ
メディア・コングロマリットは死んだのか?

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第41回】 2009年5月29日
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 どうもここのところ話が横道にそれることが多くて、申し訳ありませんでした。久々に本論に戻りたいと思います。皆さんは、クリエイティブ産業の地殻変動にもつながる可能性もある動きが、米国で着々と進みつつあることをご存知でしょうか。それはメディア・コングロマリットの崩壊です。

タイムワーナーの決断

 メディア・コングロマリットとは、映画会社・テレビ局・出版社など、コンテンツの制作部門と様々な流通経路をすべて傘下に収めているメディアの複合企業体であり、米国のハリウッドを中心とするクリエイティブ産業の中核をなしています。

 その代表格でもあるタイムワーナーが、自らメディア・コングロマリットを解体しつつあります。1989年にワーナー・コミュニケーションとタイム社が合併し、2000年にAOLと合併して、ネットをも取り込んだメディア・コングロマリットとなりました。しかし、今年3月にタイムワーナー・ケーブルというCATV部門(=テレビという流通経路)を分離し、更には今月に入ってAOL(=ネットという流通経路)を遠からず分離する意向であることが表明されました。

 つまり、タイムワーナーは、それまでのビジネスモデルであった垂直統合モデル(コンテンツの制作から流通経路までフルセットで内部に抱える)を放棄して、コンテンツ企業となる姿勢を明確にしたのです。CATVについて言えば、ネットという新たな流通経路が普及する中で、テレビという流通経路を抱え続けるメリットが薄れたのでしょう。AOLについて言えば、ネットのオープン化の中で、元々ネット上の囲い込みモデルでありブランド力の落ちたAOLを抱え続けるメリットがなくなったのでしょう。

 このように垂直統合モデルを放棄する姿勢を明確に出す一方で、新たなネット取り込みのアプローチも発表されました。”TV Everywhere”という戦略です。タイムワーナーの持つケーブル・チャンネル(セックス・アンド・ザ・シティで有名なHBO、CNNなど)をCATVでお金を払って見ている人は、同じコンテンツをネット上でも見られるようにする、というものです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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