仮にあなたが独身で、親と同居しているビジネスパーソンだとしよう。いつものようにめまぐるしい1日が終わり、疲れて帰宅してみると、なんと玄関には倒れている親の姿が――。
さて、親に万が一のことがあったとき、あなたは仕事を取りますか、それとも介護を取りますか。
というわけで、今回のテーマは「シングル介護」。今、介護の担い手は、従来の主婦層からビジネスパーソンへと急速に変わりつつある。「“嫁”なき時代」における介護の厳しすぎる実情を、NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンの事務局長中島由利子さんに伺った。
<今回のお題>
「親が倒れたら、仕事と介護どちらを取る?」中島由利子さんの話
親の介護で退職する人が激増中!
直面する「同時多発介護」の恐怖
親の介護で仕事を辞める人はどのくらいいるのだろう。少し前にさかのぼるが、総務省の就業構造基本調査によると、2006年10月~翌年9月までに介護で離職、転職した人は約14万4800人。「寿退職」の17万8000人に迫る数だ。男性でも増えており、約2万5600人と、その9年前の約2倍に急増している。
なぜ今、介護失業者が増えているのだろうか。
もちろん、高齢化の影響は大きい。厚生労働省の介護保険事業状況報告によると、今年1月の要介護認定者数は502万人。2000年4月の調査スタート時に比べおよそ300万人増えた。
一方、介護する側にも変化が起きている。
NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンの事務局長中島由利子さんは次のように明かす。
「昔は介護といえば嫁の仕事だったのですが、今は娘や息子が担い手になっていることが多い。それも独身の人が目立ちます。とくにもともと親と同居していたというケースが圧倒的ですね」