
「ちょっと太った?」「同じクラスの○○ちゃんはかわいいね」…大人の何気ない言葉は、子どもたちの心身に多大な影響を与えるという。心理学の専門家・鈴木公啓氏が、子の見た目や装いへの目覚めについて解説する。※本稿は、鈴木公啓『子どものおしゃれにどう向き合う? 装いの心理学』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
子どもの見た目への意識に
大人が及ぼす多大な影響
子どもはどのようにして見た目を意識するようになるのでしょうか。もちろん、いろいろな要因があると考えられますが、基本的には、周りの人、特に大人の反応の影響が大きいと考えられます。未就学児の子どもが家庭にいたり、もしくは接する機会がある人はよくわかるかと思われますが、未就学児でも見た目を意識したりおしゃれに興味を持ったりします。
これについては、子どもをとりまく環境の影響を無視することはできません。たとえば、周囲の大人が自分以外の子どもにどのような声がけや評価をしているのか、ということも大きな影響を持ちます。
幼稚園や保育所などにお迎えに来た大人が「○○ちゃんの服はかわいいね」と○○ちゃんやその保護者に言ったり、もしくは園の友達についての家庭での会話の中で、もっと直接的に「△△ちゃんってあのかわいい子だよね」ということを言ったりすることによって、それらを聞いた子どもは、見た目を意識したり、ひいては、見た目が良い方が良い評価を得られるということを学んで取り込んでいくのです。
子どもは大人の話した言葉をよく聞いています。そして、子ども本人も知らず知らずのうちに、それを取り込んでいってしまうのです。