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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

リーダーなき日本にも希望が。
被災地復興のため、続々と立ち上がった若者たち

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第47回】 2011年7月5日
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 6月25日に東日本大震災復興構想会議から提言書が発表された。当連載でもその提言を精査し、そこで提案されている復興策を検証しようと思っていたが、発表されたモノを見てやめた。理由は論評できないからだ。なぜ、論評できないかというと、そこに「復興のコンセプト」がないから。コンセプトのない政策や提言を論評しても意味がない。

 政策にはコンセプトが要る。政策のコンセプトとは、たとえば「所得倍増計画」とか「技術立国」のようなもので、誰が聞いてもこの国がどの方向に向かおうとしているのか、一発で分かるような言葉やフレーズ。それがコンセプトである。

 復興構想の提言は、まず、復興のコンセプトから始まらなければならない。しかし、今回発表された提言には、一言で表せるコンセプトがない。コンセプトがないということは、そこには確固たる意志がないということだ。「復興のためには断固としてこれをやらねばならない!」という強烈な意志が見えてこない。今回の震災対策における最大の問題点は政府のリーダーシップの欠如だが、はからずもこの提言書はその問題点を再確認するようなものとなってしまっている。

自分らの復興プランを
熱く語る大学生

 その一方で、この国の若者たちは素晴らしいリーダーシップを発揮しようとしている。GW以降、ボランティアが激減していることもあり、若者、特に大学生の被災地への関心が薄れてしまったのではないか、という声も多いが、実は数多くの若者リーダーが育ちつつある。

 アメリカン・エキスプレス社とダイヤモンド社は、次世代リーダー育成を掲げ、学生を対象とした『日本復興を考える学生会議』というプロジェクトを立ち上げた。日本全国の大学生/大学院生に呼びかけ、日本復興の意志とアイデアを持った学生から30名を選抜。その選抜メンバーは、安藤忠雄氏のチャリティセミナー、一橋大学の米倉誠一郎教授監修による集中研修等、さまざまなカリキュラムを受講し、そのプロセスの中で、自らの手で「復興プラン」の草案を策定する。さらには、プラン実現のためのフィールドワークを実施したのち、最終的には米倉教授をはじめとする審査委員の前で「日本復興プラン」として発表することになる。これを、7月から10月までの約3ヵ月間をかけて行なう。

 先週の土曜日、ファイナリスト30名を選抜する最終選考会が行なわれ、筆者も審査員の1人として参加したのだが、東北、関西、九州など全国から、書類選考を通過した約50名の学生が参加。日本で学ぶ外国人留学生数名や、ロンドン大学留学中の日本人学生も参加した。

7/2(土)に行なわれた『日本復興を考える学生会議』最終選考会の様子。全国から、書類選考を通過した約50名の学生が参加。ほぼ全員が被災地に行った経験があり、何かしらの支援活動を行なっている。スピーチタイムでは一人ひとりが、自らが取り組みたい「復興テーマ」について熱く語った。【PHOTO:(C)『日本復興を考える学生会議』プロジェクト】

 ほぼ全員が被災地に行き、自分の目で現地を見てきている。そして、全員がボランティアやチャリティなど、なんらかの活動を行なっている。ボランティア団体を組織して100名単位で学生ボランティアを送り込んでいる学生もいる。スマートグリッドなど、研究室で研究している成果を被災地で実証実験し、プロジェクト化を考えている学生もいる。1700万円もの義援金を集めた学生もいる。英語でメッセージを発信し、世界8ヵ国から被災者を応援するメッセージ入りのイラストを集めた学生もいる。

 選考会ではこのような学生がひとり1分ずつ、自分達なりの「復興構想」を語った。テーマは脱原発から子どもたちの心のケアまでさまざまだが、感心したのはコンセプトを明確に語れる学生が多かったことだ。1分という短い時間でプレゼンする必要があり、伝えたいことをコンパクトにうまくまとめることが問われる。コンパクトにまとめるためには、コンセプトを明確にする必要がある。いまどきの学生は、こういうことがうまい。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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