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エコカー大戦争!

トヨタ車の品質は本当に下がったのか?
バッシングの嵐が覆い隠す問題の核心

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第32回】 2010年3月3日
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 たった1日で、見事に話題がすり変わってしまった。

 2010年2月24日(水)早朝、米国唯一の全国一般紙USA Today総合面トップは、バンクーバー・オリンピックの女子フィギアスケート・ショートプログラムで5位につけたレイチェル・フラット選手(米国)の華麗な姿。その左隣の写真は、涙を拭う女性(ロンダ・スミス氏)。彼女が涙ながらに語るのは、2007年、テネシー州内のフリーウエイ40号で所有車のレクサスES(トヨタカムリをベースとした中型4ドアセダン)を走行中に起きた「(事故に結びつかなかったが、彼女にとっては)恐怖の急加速体験」。その写真の片隅に、ピントをぼかしてTMS(Toyota Motor Sales、米国トヨタ自動車販売)のジム・レンツ社長の横顔があった。

 同紙経済面「Money」では、スミス氏の涙の写真はさらに大きくなり、泣き顔の崩れ方がより目立つ。その隣で、夫・エディ氏が厳しい表情を見せる。さらに、その写真の下で、TMSのジム・レンツ社長が公聴会前に宣誓をする姿が掲載されていた。

 こうした新聞報道に加えて、テレビ、ラジオ、インターネットで一斉に流れた「トヨタリコール問題に関する米議会下院・エネルギー商業委員会小委員会・公聴会の模様」は、アメリカ人の被害者意識を否応なく煽るかたちとなった。

 同日7:00amのニュース専門チャンネルCNN Liveでは、米国内の自動車技術や法規を統括するNHTSA(National Highway Traffic Safety Association、米道路交通安全局)の幹部が登場し、アンカーウーマンからの厳しい質問に答えた。

 その質疑応答は、一連のトヨタ・リコール騒動を構成する①フロアマット問題、②アクセルペダルのフリクションレバー問題、③プリウスのブレーキのフィーリング問題、④また最近話題になり始めた2009~2010年カローラのパワステ制御の問題等にはほとんど触れなかった。アンカーウーマンの興味は前日の公聴会での「スミスの涙」の影響によって、電子制御が原因(と多くの人が推測する)「Unintended acceleration (予期できない急加速)」に一極集中したのだ。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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