それにしても、為替相場は本当に動きませんね。
「夏枯れ相場」という言葉があるほど、例年でも夏の相場は動かないものですが、それでも、今回は「今年の夏は相場が動くかもしれない!」といった感じで「夏の大相場の予感」についてご説明したいと思います。
この7月の米ドル/円の値幅は3円以上に拡大する!?
なぜ、そのような話になるかと言えば、小動きが続くとしても限界があるからです。
「資料1」のように、6月の米ドル/円の最大値幅は、なんと2円を超えられませんでした。米ドル/円の月間値幅が3円未満というのは、これまで5%程度の確率でしかありませんでしたから、異例の小動き、異常な小動きと言えるでしょう。
資料1
そのような3円未満の月間値幅という小動きが、5月、6月と、2ヵ月続きました。これは2000年以降では3回目のことですが、3円未満の小動きが3ヵ月以上続いたことはありませんでした。
その意味では、これまで起こらなかったことが起こらない限り、7月の米ドル/円の値幅は3円以上に拡大することになります。
これまでに2ヵ月連続で3円未満の値幅となったのは、2007年4~5月と2011年1~2月の2回でしたが、後者は東日本大震災が発生したこともあって、3ヵ月目となる2011年3月の値幅は一気に6円以上に急拡大しました。
前者の2007年6月の場合は3円をかろうじて超える値幅拡大にとどまりましたが、それでも、その翌月となる2007年7月の値幅は5円以上に拡大していました。
サンプル数が少ないのでどうかとは思いますが、2ヵ月連続で3円未満の値幅といった小動きが続いた後は、その反動もあって、今度は一転して1両月で5円を大きく上回る値幅拡大の大相場が起こる可能性があるのかもしれません。
7月の値幅は、2000年以降の平均だと、1年間の12ヵ月のうちで最小です。
つまり「1年で最も小動きの7月」ですし、「夏枯れ相場」という言葉があるように、通常だと夏の相場は小動きの確率が高いのですが、今年は異例の「夏の大相場」が起こるかもしれないと考えているのです。
そろそろ「米ドル高第2幕」に移りつつある時期に
もう1つ、こんな資料もご紹介しましょう。「資料2」は、過去4回の対円での「米ドル高トレンド」を平均したグラフに、今年3月17日にザラ場(取引時間中)で76円台、終値で78円台の米ドルの安値をつけてからの米ドルの推移を重ねたものです。
資料2
この「米ドル高トレンド」の平均を見ると、「米ドル高」の展開には一定のリズムがあります。
つまり、「米ドル高」が開始してから1ヵ月程度で米ドルが5%上昇し、その後は2ヵ月以上の横ばいとなり、小動きが続きました。そして、「米ドル高」が開始してから4ヵ月目に近づく中で、米ドルは上昇率を10%以上に拡大していったのです。
これをカンタンに言えば、「米ドル高」の開始から最初の1ヵ月が「米ドル高第1幕」、2ヵ月以上の「中休み」を経て、「米ドル高第2幕」に移ってきたと言えるでしょう。
さて、あの3月17日に米ドルが76円台の安値を記録してから、今週で80営業日以上が経過し、4ヵ月目に近づいてきました。
その意味では、この間の小動きは、「米ドル高第1幕」と「第2幕」の間の「中休み」で、そろそろ「第2幕」に移りつつあるのだとすれば、前述した「そろそろ為替が動き出す」といった見通しと一致するのです。
今年も「米ドル高の7月」といった経験則どおりになるか?
そういった見方には好都合なのですが、7月のもう1つの経験則に「米ドル高」になりやすいというものがあります。
もう一度「資料1」を見てみると、1995年以降で調べたところ、7月は「米ドル高」が11回と最多でした。確率にすると69%だから、ほぼ7割になります。
資料1・再掲載
このコラムでも何度か書いているように、6月の代表的な経験則は、米国の金利に重要な基調転換が起こるというものでした(「この6月が今年最後のドル安となるのか?米景気不安再燃なら『大底打ちやり直し』も」など参照)。
米国の金利はこのところジリジリと上昇し始めており、まさにそんな経験則どおり、米国の金利が年間の底値をつけて、上昇に転換した可能性があると考えています。
そうであれば、基本的には金利上昇で「米ドル高」となり、「米ドル高の7月」といった経験則どおりになるのではないかと思っていますが、どうでしょうか?