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経済は地理から学べ!
【第14回】 2017年6月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
宮路秀作 [代々木ゼミナール・Y‐SAPIX東大館地理講師]

中国、インドの人口は、
なぜ13億人を超えたのか?

「経済×地理」で、ニュースの“本質”が見えてくる!仕事に効く「教養としての地理」

地理とは、農業や工業、貿易、交通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問です。

地理なくして、経済を語ることはできません。

最新刊『経済は地理から学べ!』の著者、宮路秀作氏に語ってもらいます。

中国、インドの人口は、なぜここまで増えた?

 現在、中国の人口は約13.7億人、インドの人口は約13.1億人です。なぜここまで人口が増えたのか。地理的な視点から見てみましょう。

 米、小麦、茶、綿花、ジャガイモの生産統計を見ると、1位中国、2位インドとなっています。

 私はこれを授業中に、「米小麦 お茶に綿花に ジャガ~イモ」と五七五のリズムで受験生に教えていますが、頭の中に案外残るようです。

 その農作物の1つ、米の生産量を細かく見ると、1位中国、2位インド、3位インドネシア、4位バングラデシュ、5位ベトナムとなっています。

 すべてアジア諸国であり、インドネシア(2.5億人)、バングラデシュ(1.6億人)、ベトナム(9000万人)と、中国・インドには及びませんが、人口の多い国がランクインしています。

米の生産量と人口の関係

 モンスーンアジア(モンスーンの影響を受けて夏季に多雨となる東・東南・南アジア)での米の生産量は世界シェアの9割を占めます。

 そしてなんと、その地域の生活人口は、世界の55%といわれています。

 モンスーンアジアは人口支持力が高い地域であると考えられますが、これは米の生産が盛んであることが背景です。人口支持力とは、ある地域において居住する人々を扶養できる力のことをいいます。

 他地域との交流が一切見られない地域であれば、人口支持力は「食料生産量」や「獲得経済による収穫」による食料供給量で決まります。また他地域との交流を持つことで、食料供給量に輸入量が加わり、その分人口支持力が向上します。

※「食糧供給量」についてまとめた記事
●地球の人口は160億人まで増える!? 教養としての「人口論」

 水田は常に水を張った状態であるため、連作障害が起こりません。連作障害とは、さまざまな要因で農作物が生育不良となっていくことで、「病原体が土壌中で増加することで起こる土壌病害」などのことです。

 連作障害が起こらないため、米は単位面積当たりの生産量が極めて高い穀物といえます。

 さらにアジアの国々は、基本的に国土面積が大きい国が多く、1カ国当たりの人口が多くなりやすい「土台」があります。※中国の国土面積は世界第4位、そしてインドは第7位

 米という農作物に焦点を当てることで、中国、インドが人口大国になる「土台」が見えてきました。

 ちなみにヨーロッパは、連作障害が起こりやすい畑作を中心としているため、人口支持力は高くありません。連作障害は、主に土壌養分の不足から起こります。水田は安定した土壌環境を維持することができますが、畑作にはそれが難しいのです。

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 宮路秀作(みやじ・しゅうさく) [代々木ゼミナール・Y‐SAPIX東大館地理講師]

 「東大地理、センター地理」などの講座を担当する実力派。
 一部の講師しか担当できないオリジナル講座を任され、 これらは全国の代々木ゼミナール各校舎・サテライン予備校にて サテライン放映(衛星通信を利用して配信)されている。「地理」を通して、現代世界の「なぜ?」「どうして?」を解き明かす講義は、9割以上の生徒から「地理を学んでよかった! 」と大好評。
 講義の指針は、「地理とは、地球上の理(ことわり)である」。代ゼミ講師2年目から模試の作成にも携わり、2011年からは東大プレの担当も任されている。開設講座のほとんどがサテライン放映されており、また高校教員向け講座「教員研修セミナー」の講師を担当するなど、「代ゼミの地理の顔」となる。生徒アンケートは、代ゼミ講師1年目の2008年度から全国1位を獲得し続けている。 東京、名古屋、札幌、新潟と、全国の校舎で教壇に立つ。代ゼミ新潟校・名古屋校で開講された自身初のオリジナル講義は、100人教室が初年度から満席。翌年からサテライン放映講座となる。対面授業、サテライン授業あわせて、1週間で2000人以上の生徒を指導している。


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「東大地理」を担当する“現役"予備校講師が教えるから、面白くて、わかりやすい!
地理とは、地形や気候といった自然環境を学ぶだけの学問ではありません。
農業や工業、貿易、流通、人口、宗教、言語にいたるまで、
現代世界で目にする「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問なのです。
地理という“レンズ"を通せば、人間の経済活動により深い解釈を加えることができます。

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