食は、どうなる。
【第7回】 2011年7月13日 足立直樹

国が定める食の“安全基準値”は信用できるのか?

 また飲み物については、現在、日本の暫定規制値は、大人はヨウ素が1リットルあたり300ベクレル、乳児は同100ベクレルとなっています。しかし、WHOの基準はヨウ素、セシウムともに10ベクレルですし、原発排水の国際的基準はセシウムで90ベクレル、ヨウ素で40ベクレルです。

 すなわち、現在の日本では、原発排水以上に放射能汚染のひどい水を乳児が飲んでよいことになっているのです。ちなみにこの日本の「暫定基準値」が決められたのは3月17日、つまり福島原発の一連の爆発が起きた後です。現状を追認するための後付けの「基準値」であると批判されても、しかたないでしょう。

自分なりの安全基準を持ち
納得できる食品のみ購入する

 このように、残念ながら放射線による食品の汚染に関して、今私たちは大変厳しい状況に直面しています。国や自治体から提供される情報が、必ずしも「安全を保証する」ものではないことがこれまでの話でお分かりいただけたと思います。

 では、私たちは何を選び、何を食べたらいいのでしょうか。これまでは環境負荷を低減するために、地産地消が推奨されてきましたが、今後しばらくは、海外産のものを食べた方が安全ということが「常識」になるかもしれません。

 いずれにしても、自分や子どもの命と健康は自分で守るしかないということではないでしょうか。食品の安全性に対する基準を自分の中で持ち、自分が納得できる許容範囲内で購入することが重要となってきています。私たちは今まで以上に、食品の安全性を意識しなければいけない時代に突入したのです。

 これからは消費者として、子どもを守る親として、食の安全に関する情報開示を行っている企業や生産者により積極的に耳を傾け、自らの行動に繋げていく必要があるでしょう。

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足立直樹

東京大学理学部卒、同大学院で理学博士号取得。国立環境研究所、マレーシア森林研究所(FRIM)を経て、コンサルタントとして独立。専門分野はCSR、環境経営、環境コミュニケーション。日本生態学会常任委員、環境経営学会理事、環境省生物多様性広報・参画推進委員会委員、環境省生物多様性企業活動ガイドライン検討会委員、国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン理事、サステナビリティ日本フォーラム運営委員などを務める。


食は、どうなる。

現在、私たちをとりまく食の背景には、安全性の問題や、気候変動の影響など、とても複雑な事情や問題が絡み合っています。私たちが食べているものを様々な視点から見て、私たちの命を支えている食の仕組みをあらためて考えてみましょう。

「食は、どうなる。」

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