米アップルのiPhoneを武器にして快進撃を続けるソフトバンクモバイルを狙い撃ちにして通話料収入を奪取するつもりか――。
7月1日、NTTグループで、主にインターネット系のビジネスを担うNTTコミュニケーションズから、憶測が憶測を呼ぶような新サービスが開始された。
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NTTコムの「050プラス」は、スマートフォンで割安のIP電話が利用できるiPhone専用のアプリケーションだ。アップルのAppStoreからアプリ(無料)をダウンロードしてから、クレジットカードの情報を登録する。その後は、基本料金の315円(月額)を払えば、アプリの加入者同士は通話が24時間無料になる。
NTTコムは、もとより個人宅やオフィスなどで使うIP電話「OCNドットフォン」(いわゆる050電話)サービスを展開しており、提携するISP(接続事業者)を含めて300万人以上の利用者を抱えている。今回、固定電話の分野からモバイルの分野に出て行く格好になった「050プラス」では、固定電話の300万人以上の利用者との通話についても24時間無料の対象に含めた。
IP電話とは、一般的な電話に使われる回線交換方式ではなく、インターネット回線(IP網)を通して、音声通話のデータをやり取りする仕組みで、世界的に普及している。代表的なサービスには、ルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズが提供する「Skype」がある。加入者同士の通話は無料になるが、「Skype」以外の電話にかけた場合(スカイプ・アウト)は、別途費用が発生する。
NTTコムの「050プラス」も、基本的な仕組みは「Skype」と似ているが、異なる点もある。「050プラス」は、加入者全員に電話番号が割り当てられ、相手の端末に表示される。そのほか、通話明細を確認できたり、留守番電話が使えたりするなど、電話会社が出すIP電話アプリならでは機能が盛り込まれている。
最もユニークなのは、「おトク額表示画面」で、iPhoneを独占的に販売するソフトバンクの「ホワイトプラン」や「Wホワイト」の料金と並べて比較できるところだ。通話が終了した時点で、「126.0円おトクでした」などと表示されて差額が一目瞭然になる。使用条件にもよるが、ほとんどの場合でソフトバンクよりも割安になるので、まるで同社に宣戦布告をしているかのように見える。