「どこも一緒」といわれてきたコンビニの店舗が多彩になってきた。オフィス街向け、住宅地向け、ビル内向け等――立地に合わせて売り場の配置や品ぞろえを“カスタマイズ”するのがトレンドだ。中でも多くの人が行き交う都心では個性的な店舗が登場している。その代表例としてビジネスシーンに使えそうな3店を解説したい。一店一店の店づくりから、各チェーンの戦略が見えてくる。(文・撮影/コンビニジャーナリスト 吉岡秀子)
「GINZA SIX」にある
知る人ぞ知るローソン
今、都内で最も賑わっているスポットの一つ、東京銀座の商業施設「GINZA SIX」にやってきた。平日だというのに、人・人・人。人込みの中に中国語、韓国語、英語、フランス語とさまざまな言葉が飛び交うのも、ワールドクラスブランドのテナントが数多く進出する銀座ならではだ。この1階に、知る人ぞ知るローソンがある。
店名はそのまんまの「ローソン GINZA SIX店」。この4月の開業にあわせ、ローソンがGINZA SIXリテールマネジメント株式会社と共同で、各社と連携してオープンしたツーリストサービスセンター「TERMINAL GINZA」内に作られた。
店の中は広々として落ち着いた雰囲気。壁側の棚におにぎりやサンドイッチ、カップ麺等、“いつものコンビニ売り場”があるものの、中央に観光案内ブースがあったり、お土産コーナーが設けられていたり、ソファがあったり。さらには免税カウンターや宅配便取次カウンターまで併設され、インバウンド向けのサービス満載の空間になっている。
「この店、ローソンですよね?」と、横にいた日本人の20代女性客に話しかけると「えっ、そうなんですか?」と返ってきた。
ここまでローソン色をなくしてもいいのだろうか?