韓国出身で、国籍はアメリカ、中国語も日本語も堪能というインターナショナルなバックグラウンドを持つビルコム(BILCOM)CCO (Chief Communications Officer)兼ビルコムチャイナ(BILCOM China)総経理のトニー・リー(TONY LEE)氏。中国で企業によるマーケティング活動が盛り上がるなか、デジタル・マーケティングの将来性と落とし穴について聞いた。
スマートフォンの普及率は都市部で80%
デジタル・マーケティングの好機到来
――中国では、企業によるマーケティング活動が盛り上がっていると聞きます。BILCOM Chinaは、どんな事業を手がけていますか。
BILCOM Chinaは、ローカルブランディングとデジタルマーケティング(PC、モバイルなど、デジタルデバイスを利用するマーケティング)を中心に、クライアント企業の中国におけるマーケティング活動を支援する会社です。
――スマートフォーンやiPadなど、デジタルデバイスを利用したデジタルマーケティングがこれから中国で増えてくると思いますか?
中国全土でのスマートフォーンの普及率はまだ15%程度ですが、上海など都市部の若者(18~35歳)に限れば80%の普及率と言われています。これから若い世代を中心にデジタルデバイスの普及は加速していくと思います。ただし、企業が中国でデジタルマーケティングを手がける場合には、「日本やアメリカ」とは違う、中国の事情についても考慮する必要があります。
たとえば、iPadは日本ではビジネスユーザーが多いと思いますが、中国では家庭での利用がメインです。アプリも、ビジネス系よりもエンターテインメント系が多く利用されています。小さい子どもを持つ親が、子どもを黙らせて1人で遊ばせるために、iPadでゲームをやらせたりしているのです(笑)。
また、アメリカや日本で流行り始めているモバイルのチェックイン機能は、GPSの精度の問題もあり(誤差1km程度)、中国での活用はまだまだこれからです。
――微博(中国版ツイッター)やSNSなどを使った口コミマーケティングは、中国でも役に立ちますか?
現在、利用者が急増している微博やSNSは、中国でも有効な口コミツールです。中国人は「長いモノに巻かれる」という特徴もあるので、インフルエンサーをうまく利用した口コミが威力を発揮します。