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トランプ現象が生んだ皮肉
オールドメディアの読者が急増

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第432回】 2017年6月16日
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力を取り戻したメジャーメディア

 今、アメリカでは「ジャーナリズム・ルネッサンス」とでも呼ぶべき現象が起きている。

 2016年の大統領選で、トランプ候補の勝利を予想できなかったメジャーメディアは、アメリカ国民の不信を買い、自らも自信をなくしていたように見えていた。ところが、それから7ヵ月後の現在、数々の新聞やニュースサイトがこれまでにないほど力を盛り返しているのだ。

 復活の理由は、他でもないトランプ大統領である。

 トランプ大統領はメジャーメディアを「フェイクニュース」呼ばわりし、今も変わらず攻撃を続けている。だが、メジャー・メディアは大統領選終了直後から購読者数を急速に増やしているのだ。

 例えば、ウォールストリート・ジャーナルは選挙の翌日の購読申し込みが300%アップし、ニューヨーク・タイムズは選挙後の3週間だけで13万2000人の購読者を新たに獲得。同紙は、今年5月までの6ヵ月間で購読者を60万人以上増やしたという。

 その他、調査報道を専門とするプロプブリカへの寄付金額が増え、ジ・アトランティック誌、マザー・ジョーンズ、ガーディアン紙など硬派のニュース・メディアは、軒並み購読者を増やしている。

 選挙戦後に批判を受けたものの、こうしたメディアから人々がニュースを得ようとしていることは、人々の信頼が決して消えてしまったわけではないことを表している。政権が発表することや、ソーシャルネットワークで出回るニュースだけに頼っていては、何が起こっているかを正確に把握できなくなる、という危機感が人々の間にあるのだ。

 ここ数年、広告収入を失ってビジネスとしての危機に直面し、ソーシャルネットワークにマインドシェアを奪われてきたメジャーメディアにとっては、自信回復につながる傾向だ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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